研究領域 | 電磁メタマテリアル |
研究課題/領域番号 |
23109505
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
鈴木 健仁 茨城大学, 工学部, 助教 (60550506)
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キーワード | 電磁メタマテリアル / テラヘルツ波 / 人工誘電体 / 電磁界解析 / 周期モデル |
研究概要 |
0.1~10THz付近のテラヘルツ波帯では、光源や検出器とともに、光学素子が発展途中であり、充実が求められている。任意に所望の屈折率nを自然界の材質で実現や設計することは容易ではない。素材そのものをレンズに加工して用いる場合、材質の持つ特性により光学特性が決定されるためである。代表的なテラヘルツ波帯のレンズとしては、屈折率n=1.52の高密度ポリマーレンズ、n=1.56のTsurupicaレンズ、n=3.41のシリコンレンズなどがあげられる。物質固有の特性に頼らず、構造により屈折率を制御できれば、設計の自由度の増大と価格の面での意義が大きい。マイクロ波帯では球形アレー、円盤アレー、方形アレー、ストリップアレーを用いた人工誘電体レンズが提案されている。また、平行平板での伝搬モードの速波効果を用いた金属レンズも提案されている。最近になり、テラヘルツ波帯では電磁メタマテリアルによる吸収構造、反射防止構造、高屈折率構造、3次元メタマテリアル構造などが報告されている。 本研究では金属溝周期構造(コルゲーション)構造や金属方形チップ周期構造を用いたテラヘルツ波帯人工誘電体レンズを全構造解析し、集光効果を確認した。また、全構造から1本分抜き出した周期モデルにより位相遅れも確認した。単位素子のパラメータを変化させた際、全構造解析の結果は、周期モデルにより求めた位相遅れの結果と定性的に一致し、周期モデルがレンズ設計に有効であることが確認できた。本レンズのように、1要素が波長に対して小さく、全構造では波長に対して大規模で複雑なモデルの解析、設計は一般的に取り扱いにくく、挑戦的である。周期モデルでの解析は高速で、将来的なパラメータの繰り返し補正の伴う設計の際に非常に効率的である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
電磁メタマテリアルを用いたテラヘルツ波帯レンズを解析、設計し、現在試作中である。また、本研究に関する内容について国際会議にて3件、国内学会にて3件発表し、特許を2件出願した。現在、査読付き英語論文誌2件が査読中である。来年度、試作したレンズを実験予定である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、金属溝周期構造を有するテラヘルツ波帯レンズを試作中である。金属ドリルで数10μmオーダーの溝加工を施した100枚程度の銅版で1-2cm程度のレンズ形状を構成する。完成後、テラヘルツ時間領域分光法により、レンズの特性を測定し、解析との比較、検討を行う予定である。
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