研究概要 |
メタマテリアルは,電磁波の波長領域よりも小さな構造(サブ波長構造)で構成され,負の屈折率などの異常な電磁応答を引き起こす物質である。この分野の1つの課題は,金属の3次元構造を自在に操ることであり,最近では可視,紫外領域での動作を実現するために,ナノメートルオーダーの精度を有する大規模かつ低廉な加工技術が望まれている。 本研究は,ポーラスアルミナを鋳型とした金属ナノロッドアレイの電気化学的作製技術をメタマテリアル創製技術にまで発展させることを目的とする。具体的には, (1)均一な金属ナノロッドアレイを作製し,その構造を自在に制御する技術を確立する。 (2)所望のアスペクト比を有する金属ナノロッドを設計する技術を確立する。 (3)二重径を有する金属ナノロッドからなる高規則性アレイを作製する。 (1)陽極酸化による高規則性ポーラスアルミナの作製 浴温度を一定にしたシュウ酸水溶液にアルミニウム板を浸漬し,定電圧で陽極酸化を行った。細孔の形成を原子間力顕微鏡によって確認した。浴温度によって規則性を,印加電圧によって細孔径と孔間隔を制御した。 (2)銀イオンのパルス電解による銀ナノロッドの形成 アルミ板を基板電極としてそのまま電析させるために,(1)細孔底部のバリヤー層(絶縁層)除去,(2)交流電圧あるいは交互パルス電位の印加,(3)電析浴の調製を行い,最適条件を見いだした。構造評価には原子間力顕微鏡,走査電子顕微鏡に加えて,X線回折法を使用し,結晶構造と配向性を観察した。 (3)銅イオンのパルス電解による酸化銅結晶の形成 アルミ板を基板電極として銅イオンの電析を試みたところ,パルス条件によって銅,酸化銅が作り分けられ,それぞれが固有のナノ構造を有することを見いだした。
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