研究領域 | シナプス・ニューロサーキットパソロジーの創成 |
研究課題/領域番号 |
23110512
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
白根 道子 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (90398082)
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キーワード | 神経細胞分化 / 神経管形成 / 神経疾患 / 小胞輸送 / タンパク質複合体 / Protrudin / Rab11 |
研究概要 |
本研究では、遺伝性痙性対麻痺の発症原因を明らかにするため、膜曲率形成機構と細胞内オルガネラとの関係を調べること、またprotrudinと関連するタンパク質や脂質の役割を解析することを目標とした。 今年度は、protrudinのFYVEドメインの結合脂質として新たにPI(5)Pを同定した。そして、PI(5)PとRab11による神経細胞樹状突起スパインでの機能連関を調べた。その結果、 (1)Long-term potentiation(LTP)シグナル依存的に働くPKCにより、protrudinによるPI(5)P制御作用が増強されることがわかった。その際、FYVEドメインの樹状突起スパインへの局在が強くなることを見いだした。 (2)さらに、protrudinの結合タンパク質として、PI(5)P合成酵素であるTMEM55を同定した。 (3)また、protrudinの結合タンパク質として同定したKIF5との機能関連を明らかにした。 (4)一方、FKBP38が、ミトコンドリアオートファジー(マイトファジー)の際にミトコンドリアから小胞体にエスケープすること、その分子機構として、膜貫通領域の塩基性アミノ酸の数が重要であることを明らかにした。 以上の結果より、protrudinはRab11を介するリサイクリング小胞輸送により、ポストシナプスにおいてLTPシグナル依存的に受容体をスパイン表面へ輸送し、シナプス増強に働くことがわかった。それらの機能に膜挿入領域であるHairpin domainが重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小胞輸送制御タンパク質protrudinの複合体解析により、遺伝性痙性対麻痺の発症原因の一部を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
本来の目的を達成するためには、protrudinの機能解析のみでは分からない現象が出てきたため、その結合分子であるTMEM55などの解析をさらに深める必要性が生じてきた。
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