本研究では、遺伝性痙性対麻痺の発症原因を明らかにするため、膜曲率形成機構と細胞内オルガネラとの関係を調べること、またprotrudinと関連するタンパク質や脂質の役割を解析することを目標とした。 今年度は、プロトルーディンの神経特異的トランスジェニックマウスを作製しプロトルーディンの複合体解析を網羅的に行った結果、SPGタンパク質のKIF5、Atlastin-1、REEP5を同定した。またプロトルーディンもヘアピンドメイン構造を有していることが示唆された。さらに、プロトルーディンノックアウトマウスを作製し、細胞極性異常と後シナプスのスパイン成熟不全を見いだした。 (1)プロトルーディンのトランスジェニックマウスを作製し、プロトルーディンの複合体解析を網羅的に行った結果、SPGタンパク質のKIF5、Atlastin-1、REEP5が同定され、各々との結合実験により複合体形成が確認された。さらに膜トポロジー解析を行った結果、主要なSPGタンパク質と同様にプロトルーディンもヘアピンドメイン構造を有していることが示唆された。よってプロトルーディンが細胞内膜系の構造調節およびネットワーク形成に関与していることが強く示唆された。(2)また、プロトルーディンのノックアウトマウスを作製したところ、野生型に比べて神経軸索が短く樹状突起が長いという細胞極性異常が認められ、後シナプスにおいても樹状突起スパイン成熟不全が認められた。よってプロトルーディンは軸索輸送およびスパイン内輸送に関与していることが示唆された。
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