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2011 年度 実績報告書

広汎性発達障害モデルマウスを用いた発症メカニズムの解明

公募研究

研究領域シナプス・ニューロサーキットパソロジーの創成
研究課題/領域番号 23110524
研究機関群馬大学

研究代表者

定方 哲史  群馬大学, 先端科学研究指導者育成ユニット, 助教 (90391961)

キーワード自閉症 / BDNF / 分泌 / CAPS2
研究概要

南閉癒モデルマウスであるCAPS2 exon3スキップマウスを作製し、解析を行った。このマウスの行動解析により、新奇環境への適応不全、社会性行動の異常、母性行動の低下、サーカディアンリズムの消失といった、自閉症様形質が明らかになった。さらにこのマウスの解剖単的解析により、BDNFやクロモグラニンのトラフィッキングの異常やゴルジ体の形態異常が示された。電気生理学的解析においては、paired-pulse facilitationに異常が見られた。以上より、このマウスは自閉症モデルマウスとして有用であることが示された,
CAPS2タンパク質が有芯小胞分泌のどのステップに関与するかを詳細に検討した。その結果、以下のことが分かってきた。
(1)CAPS2タンパク質はPHドメインを介してゴルジ体膜に結合し、その結合性はC2ドメインによって制御されている。
(2)CAPS2タンパク質はGDP結合型のクラスII ARFタンパク質(ARF4,ARF5)のN末端に結合する。
(3)CAPS2とARFの結合をブロックした場合、有芯小胞マーカータンパク質であるクロモグラニンはゴルジ体に集積する。
(4)岡様のクロモグラニン集積はCAPS2およびARFをノックダウンした場合にも起こる。
(5)CAPS2をノックアウトした場合、神経細胞のゴルジ体の形態が異常になる。
以上より、CAPS2タンパク質が有芯小胞のトラフィッキングに関与するメカニズムが分かってきた。
以上の結果は、FEBS Journal.279(3),p384-394(2012)にて報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CAPS2 exon3スキップマウスの解析もほぼ終了し、論文発表に向けて葡実に前進している。

今後の研究の推進方策

CAPS2 exon3スキップマウスの続報として、小脳での解析を進めている。自閉症患者においては小脳の剖検例が報告されているが、CAPS2 exon3スキップマウスも同様の小脳の畏常な形質を示しており、より詳細に解析を行うことで自閉症の小脳異常に関する重要な知見が得られるものと考える。
CAPS2の働きに関しては質量分析により結合タンパク質を同定し、有芯小胞マーカータンパク質の命子イメージングにより神経ネットワーク内での役割を明らかにすることを計画しており、現在固定された候補タンパク質に関して解析を進めている。これらの結合が明らかになれば、有芯小胞トラフィッキングの分子メカニズムがさらに解明されると考えている。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (2件) 図書 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Calcium-dependent activator protein for secretion 2 (CAPS2) interacts with the class II ARF small GTPases and regulates dense-core vesicle trafficking2012

    • 著者名/発表者名
      Sadakata T, Sekine Y, Oka M, Itakura M, Takahashi M, Furuichi T
    • 雑誌名

      FEBS Journal

      巻: 279 ページ: 384-394

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Phase advance of the light-dark cycle perturbs diurnal rhythms of brain-derived neurotrophic factor and neurotrophin-3 levels, which reduces synaptophysin-positive presynaptic terminals in the cortex of juvenile rats2011

    • 著者名/発表者名
      Hamatake M, Miyazaki N, Sudo K, Matsuda M, Sadakata T, Furuya A, Ichisaka S, Hata Y, Nakagawa C, Nagata K, Furuichi T, Katoh-Semba R
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 286 ページ: 21478-21487

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Systematizing and cloning of genes involved in the cerebellar cortex circuit development2011

    • 著者名/発表者名
      Furuchi T, Shiraishi Y, Sato A, Sadakata T, Huang J, Shinoda Y, Hayashi K, Mishima Y, Tomomura M, Yoshikawa F
    • 雑誌名

      Neurochemical Research

      巻: 36 ページ: 1241-1262

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Calcium-dependent activator protein for secretion 2 (CAPS2) promotes BDNF secretion and is critical for the development of GABAergic interneuron network2011

    • 著者名/発表者名
      Shinoda Y, Sadakata T, Nakao K, Katoh-Semba R, Kinameri E, Furuya A, Yanagawa Y, Hirase H, Furuichi T
    • 雑誌名

      Proceedings of the National Academy of Sciences

      巻: 108 ページ: 373-378

    • 査読あり
  • [学会発表] CAPS2 protein, dense-core vesicle trafficking and autism2011

    • 著者名/発表者名
      Tetsushi Sadakata
    • 学会等名
      The 10th JBS Biofrontier Symposium
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2011-11-15
  • [学会発表] CAPS2のsplicing異常と自閉症2011

    • 著者名/発表者名
      定方哲史
    • 学会等名
      包括型脳科学研究推進支援ネットワーク・夏のワークショップ
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2011-08-22
  • [図書] 実験医学2012

    • 著者名/発表者名
      篠田陽、定方哲史、三島百合子、古市貞一
    • 総ページ数
      236-241
    • 出版者
      羊土社
  • [図書] 医学のあゆみ2011

    • 著者名/発表者名
      定方哲史、古市貞一
    • 総ページ数
      701-707
    • 出版者
      医歯薬出版株式会社
  • [図書] 自閉症支援のすべて2011

    • 著者名/発表者名
      定方哲史
    • 総ページ数
      206-207
    • 出版者
      日本文化科学社
  • [備考]

    • URL

      http://asrldu.dept.med.gunma-u.ac.jp/tsadakata/tetsushi_sadakata.html

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公開日: 2013-06-26  

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