研究概要 |
南閉癒モデルマウスであるCAPS2 exon3スキップマウスを作製し、解析を行った。このマウスの行動解析により、新奇環境への適応不全、社会性行動の異常、母性行動の低下、サーカディアンリズムの消失といった、自閉症様形質が明らかになった。さらにこのマウスの解剖単的解析により、BDNFやクロモグラニンのトラフィッキングの異常やゴルジ体の形態異常が示された。電気生理学的解析においては、paired-pulse facilitationに異常が見られた。以上より、このマウスは自閉症モデルマウスとして有用であることが示された, CAPS2タンパク質が有芯小胞分泌のどのステップに関与するかを詳細に検討した。その結果、以下のことが分かってきた。 (1)CAPS2タンパク質はPHドメインを介してゴルジ体膜に結合し、その結合性はC2ドメインによって制御されている。 (2)CAPS2タンパク質はGDP結合型のクラスII ARFタンパク質(ARF4,ARF5)のN末端に結合する。 (3)CAPS2とARFの結合をブロックした場合、有芯小胞マーカータンパク質であるクロモグラニンはゴルジ体に集積する。 (4)岡様のクロモグラニン集積はCAPS2およびARFをノックダウンした場合にも起こる。 (5)CAPS2をノックアウトした場合、神経細胞のゴルジ体の形態が異常になる。 以上より、CAPS2タンパク質が有芯小胞のトラフィッキングに関与するメカニズムが分かってきた。 以上の結果は、FEBS Journal.279(3),p384-394(2012)にて報告した。
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