研究概要 |
母体の高脂肪食摂餌の産仔への影響のシナプス病態を評価するため,神経細胞の発達期における酸化ストレスが,その後の神経細胞,特に樹状突起スパインの成熟過程にどのような影響を及ぼすか調べた.高脂肪食摂餌母体の産仔の脳に蓄積する酸化脂質であるマロンジアルデヒド(MDA)を,成熟した海馬初代培養細胞に作用させたところ,濃度依存的にスパイン数と頭部直径が減少した.次に,培養直後および発達期の神経細胞に一過的にMDAを作用させ,その後通常の培地で培養を行い,成熟後の樹状突起スパインを解析することで,発達期の酸化ストレスの可逆性を検討した.その結果,初代培養神経細胞の発達過程における一過性の酸化ストレスの作用は持続的であり,非可逆的にスパイン形態の異常を引き起こすことが明らかになった.このことから,母体の高脂肪食摂餌による胎仔への影響の中には,特に,シナプスを中心として非可逆的な要素も存在することが見込まれる.現在,高脂肪食を施した母体より産仔が得られつつあるので,今後これらの個体におけるスパインへの影響についても解析を行う予定である. 内的要因の解析についても検討を開始し、酸化ストレスとの関連性を見いだした脱ユビキチン化酵素UCH-L1につき、その発現量がシナプスの機能形態に及ぼす影響の解析を進めた.
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