公募研究
本研究課題はスピン自由度に関連する新規材料の開発研究を主眼とする。我々は有機材料/無機材料の区別なく広範な元素、分子群を取り扱ってきた。電導性、磁性、誘電性、光物性を目指した材料の設計は、「フロンティア軌道設計」と言い換えることができる。本課題で「分子自由度」の意味するものは、スピンの持つ自由度の他に、様々なフロンティア軌道を組み合せられるという設計性自由度である。本課題では、有機結晶の柔軟さと相転移挙動、つまり構造相転移の自由度も取り入れた。これにより比較的高温で挙動するスイッチ物質の開発に近づくことができた。1.反磁性-常磁性転移を示すビラジカル系:基底三重項ビラジカル (bpbn) の一連化合物群が、逐次構造相転移を示し、反磁性からS = 1/2常磁性、続いてS = 1常磁性となることを明らかにしている。この誘導体の中からS = 1/2常磁性のさらに半分のスピン量を示す新しい相を見いだした。2.スピンクロスオーバー物質の探索:鉄(II)イオンにトリピリジルメタノールが配位した物質群が高い頻度で高スピン/低スピンスイッチを見せること明らかにした。光誘起スピン励起状態捕捉という現象を示すことも明らかにした。3. 3d-2p 系のスピンクロスオーバー:有機ラジカルが2分子キレートしたニッケル錯体において、エントロピー駆動型の三中心スピン状態転移とも言うべき現象が見られた。4. 4f-2p 交換相互作用:有機ラジカル配位の希土類錯体において、4f-2p 交換相互作用にも原子番号依存性が示された。さらに、構造パラメーターと磁気カップリング定数との間に良好な相関を描くことができた。これらは希土類元素の周期律の理解を前進させるものである。また、幾つかの4f-2p錯体から単分子磁石を開発することができた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (11件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)
CrystEngCom
巻: 15 ページ: 400-410
10.1039/C2CE26258D
Chemistry - A European Journal
巻: 19 ページ: 3943-3953
10.1002/chem.201202795
Tetrahedron Letters
巻: 54 ページ: 印刷中
10.1016/j.tetlet.2013.04.008
Inorganic Chemistry
巻: 52 ページ: 印刷中
10.1021/ic300594u
Chemical Communications
巻: 2013 ページ: 印刷中
10.1039/C2CC90275C
Polyhedron
巻: 57 ページ: 印刷中
10.1016/j.poly.2013.04.004
10.1016/j.poly.2013.02.033
Tetrahedron
巻: 68 ページ: 6193-6197
10.1016/j.tet.2012.05.065
Chemistry Letters
巻: 41 ページ: 716-718
10.1246/cl.2012.716
Dalton Transactions
巻: 41 ページ: 13609-13619
10.1039/c2dt31169k
http://ttf.pc.uec.ac.jp/www.page/Ishida.html