公募研究
1.HMTSF-TCNQの逐次磁場誘起相本物質はHMTSFの正孔バンドとTCNQの電子バンドからなる擬一次元導体である。この物質は常圧では30K以下CDW転移をする。このCDWは1GPaで抑えられる。この圧力下での磁場誘起の逐次転移を研究するため、角度依存磁気抵抗とその磁場依存性、温度依存性、またHall効果を調べた。角度依存磁気抵抗の研究では、磁場誘起相が現れる前のfemiologyがおよそ10T以下の低磁場では観測され、高磁場で磁場誘起相を形成していく過程が観測された。Hall効果の測定によるとRxyは高磁場では階段的な振舞いを示し、量子Hall効果の存在を示唆する結果を得た。2.β-(BDA-TTP)213での一軸性圧力による1/2充填と1/4充填の制御と超伝導本物質は一軸性圧力の印加方向により1/2充填と1/4充填の制御の可能性がある。それに伴い絶縁層がMott絶縁体、電荷秩序が起きていると思われる。1GPa以下の菊地耕一らの研究によれば、c軸方向での圧縮時のみ、0.9GPaで10Kの超伝導を観測した。我々は圧力範囲を2.5GPaまで拡張した結果、a軸、b軸でも超伝導が発見された。我々の推察が正しければ同一物質でMott絶縁体、電荷秩序絶縁体の周辺で超伝導が起こる新規な物質であることになる3.α-(BEDT-TTF)213のディラックコーンの高圧力安定性本物質の温度に依存しない電気抵抗は加圧によりより温度域を広めることが知られているが、圧力増大とともに二つのディラックコーンがいずれ接近し、4GPa以上では一つになりギャップが開くという理論の予想があった。本研究ではその検証を目指し、cubic anvilで圧力下の電気抵抗の温度依存性を測定した。その結果、8GPaになっても温度に依存しない電気抵抗は、より安定化することが明らかにした。
1: 当初の計画以上に進展している
実績の概要に記述したことが、すべて予想(計画)以上の成果をだせたと思っている。
震災の影響で日本でのDC強磁場が事実上使えていない。この研究には20Teslaをはるかに超える強磁場が不可欠である。高圧力との組み合わせ実験なので、パルス磁場ではこの成果が出せない。Tallahassee(Florida,米国)の強磁場を使うには旅費が必要で、この工面が厳しい。
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Physica B
巻: 147 ページ: 1927-1929
10.1016/j.physb.2012.01.066
J.Am.Chem.Soc.
巻: 133 ページ: 19590-19593
10.1021/ja207353x
http://matr01.sci.osaka-cu.ac.jp/CHODENDO/