研究概要 |
申請者はこれまでに連携研究者の作製したFRET(蛍光エネルギー移動)を利用したカルシウムイオン濃度センサータンパク質Cameleon(Nagai T et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,101,10554-10559,2004)を元に光活性化カルシウムイオン濃度センサータンパク質を作製している。このセンサータンパク質はFRETのエネルギーのドナーであるPA-GFP(光活性化GFP)、エネルギーのアクセプターである赤色蛍光タンパク質、そしてセンサードメインとしてのカルシウム結合タンパク質Calmoduhn-M13ペプチドから構成されていた。 改良にあたって、まず赤色蛍光タンパク質の部分を、既に報告のあるクラゲ、イソギンチャク、から単離された色素タンパク質のうち、その吸収スペクトルが活性化型PA-GFP蛍光スペクトルとオーバーラップのあるものに交換した。 センサーのスクリーニングはHeLa細胞内に発現させて行い、 (1)発現細胞内で凝集体形成が起こっていないこと (2)共焦点顕微鏡下で光刺激を行った際刺激後に有意な蛍光強度の増加が得られていること (3)細胞にhistamine刺激を与えた際のカルシウム変動をモニター出来ていること を指標に選択した。 FRETを利用した機能タンパク質の開発においては、蛍光タンパク質中の蛍光発色団の相対的な位置関係の最適化が必須であるため、センサーの構成要素間のリンカー長の改変や色素タンパク質の円順列変異導入による相対角度の最適化を行い、黄色蛍光タンパク質Venusの無蛍光変異体DimVenusの円順列変異体をアクセプターとして持つPA-Cameleonを開発した。
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