公募研究
本年度は母子解離モデル(慢性ストレス動物)を利用し、(1)マイクログリアと神経の2重染色モデルマウスを用いたin vivo imagingの実験系を確立する。(2)2重染色マウスで母子解離モデルを作成し、慢性ストレス動物でマイクログリアが神経回路に与える影響について観察する(3)経血管的に薬理的操作を行い、(2)で観察されたマイクログリアーシナプス連関がどのように変化するかを検討する。(4)(3)の結果を踏まえ、行動実験を組み合わせることで、ストレスが引き起こす場の変化と個体としての影響を検証する-という計画のうち、(1)(2)の項目を遂行する計画であった。レンチウィルスの作成および発現実験、Iba-1EGFPマウスを利用した2重染色モデルの確立はほぼ完了した。24年度は確立したモデルでin vivo imagingを行う予定である。また、計画全体がやや遅れていたため、先行して(3)(4)の計画を遂行するための予備実験を行った。結果、慢性ストレスモデルマウスでは、自由行動時のグルタミン酸放出量が優位に上昇していることが分かった。mRNAの解析では、平常状態(home cageに十分時間順化したのち脳標本を採取)では見られない変化が、刺激入力(感覚刺激を強制的に入力した後で体性感覚野を採取)で顕著化することが分かった(論文投稿準備中)。この動物における、刺激環境下でのホルモン動態は来年度初頭に解析する予定であり、その結果を踏まえ、in vivo imagingによる形態的変化と液性因子の関連を検証する予定である。
3: やや遅れている
東日本大震災および原子力発電所事故の影響により、年度開始当初に電力供給不足が起き、実験動物の放棄を余儀なくされた。これにより、実験動物の繁殖が遅れた。また、ウィルス作成を担当していた大学院生が心労から失踪したため、10月以降ウィルス作成を最初からやり直すことになった。
上記に示した今年度の遅れは、年度末までにほぼ取り戻すめどがついた。しかし現在、来年度のin vivo imagingを行う場所の確保でやや問題がある。複数施設に打診することで解決できる予定である。また、in vivo imaging以外の研究計画も予定しているため、行動薬理実験を中心とした研究を並行して進めることで、ある程度、当初予定の成果があげられると考えられる。
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J Cereb Blood Flow Metab
巻: 32 ページ: 353-367
10.1038/jcbfm.2011.136.