研究領域 | 動く細胞と場のクロストークによる秩序の生成 |
研究課題/領域番号 |
23111512
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高木 新 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (90171420)
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キーワード | ネトリン / 表皮組織 / 線虫C. elegans / セマフォリン |
研究概要 |
C. elegansネトリン遺伝子unc-6、およびネトリン受容体遺伝子unc-5,unc-40/DCCの各変異体での発生過程におけるRn子孫細胞の配列・配置を、表皮細胞の細胞境界マーカーであるajm-1::gfpを用いて観察し、異常発生の時期・部位を検討した。UDC-40変異体においてはL4幼虫初期からRay1前駆細胞群がRay2前駆細胞群から離れて前方化してしまうという異常が観察された。unc-6変異体やunc-5変異体ではこの時期に異常は確認できなかった。L4幼虫後期になると、unc-40変異体のRay前方化異常はより顕著になり、unc-6変異体やunc-5変異体でもRay前方化異常が確認できた。L4幼虫終期では各変異体のRay前方化異常がさらに際立って見え、また、この時期にRn.p細胞が融合し、一つの巨大な細胞を形成するが、unc-6変異体、unc-40変異体ではこの細胞がWTよりも前後軸方向に長く、背腹軸方向に短くなる傾向が見られた。また、IR-LEGOによるネトリン異所発現実験のために、熱ショックプロモーターhspを持つpPD49.78にunc-6 cDNAをクローニングして、トランスジーンhsp::unc-6をもつ系統を作成し、^<60>Coガンマ線照射によって染色体に組み込んだ。 また、VPCでのセマフォリンの細胞内領域を介するシグナル伝達(逆シグナル)の存在を検討するために、特定領域に変異をもつSMP-1変異型蛋白質をコードするcDNAを作成し、これを熱ショックプロモーターにつないだトランスジェニック系統を樹立してIR-LEGOによる発現誘導実験を行った。その結果、SMP-1の細胞内領域はSMP-1の細胞伸長停止作用に必要ないという結果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アクチン結合蛋白質moesinとGFPとの融合蛋白質を用いて表皮細胞中のアクチン繊維を可視化する実験以外はほぼ予定通り進行している。Moesinを利用したアクチン繊維可視化がうまくいかない理由としてはプロモーターの性能が低いことが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
Hsp::unc-6系統に対してIR-LEGOによるUNC-6発現誘導実験を行い、Ray前方化異常の救済を指標として、UNC-6の発現が必要とされる時期と位置を特定し、UNC-6によるray前駆表皮形態調節機構を解明する。また、VPCでのセマフォリンの細胞自律的な機能がどのようにもたらされるのか、更に変異体タンパク質を利用した解析を進める。
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