研究領域 | 動く細胞と場のクロストークによる秩序の生成 |
研究課題/領域番号 |
23111513
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
飯田 敦夫 京都大学, 再生医科学研究所, 研究員(学術支援) (90437278)
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キーワード | 細胞間相互作用 / 血管 / 血球 / ライブイメージング / ゼブラフィッシュ / 細胞接着 / 増殖因子 / 蛍光イメージング |
研究概要 |
本研究課題は小型魚類ゼブラフィッシュの初期胚の観察を通じて、発生初期における血管内皮細胞-赤芽球の相互作用が形態形成(血液循環系の構築)に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。 目的達成のために平成23年度は(1)血管内皮細胞および赤芽球の細胞骨格が可視化された遺伝子組換えゼブラフィッシュの作成、および(2)血管内皮-赤芽球の相互作用を構成する責任因子の同定、を目的とした解析を行なった。(1)は細胞間相互作用を生きた個体で観察するための材料作りであり、(2)は相互作用のメカニズムを解明する上での最初のプロセスである。 (1)に関して、本研究ではアクチンフィラメン下を標識するLifeact配列にGFPおよびRFPを融合させたコンストラクトを作成した。それぞれを血管内皮特異的および赤芽球特異的に発現する遺伝子組み換えゼブラフィッシュを作成した。 (2)に関して、本研究では隣り合う細胞同士での相互作用である「接着」と、離れた細胞同士の相互作用である「シグナル伝達」に着目して責任因子の探索を行なった。「接着」に関して現在までに、赤芽球で発現する接着因子の同定・クローニングを行なった。現在、接着因子のドミナントネガティブ変異体を作成し、赤芽球に過剰発現させることで血管形成に対する影響を調査している。この解析により、血管形成に必要な細胞間相互作用が『赤芽球』との『接着』であることを示す。またシグナル伝達機構に関しては、赤芽球が発現している増殖因子の候補をピックアップした。 平成24年度は(1)と(2)を融合させた解析を行なう。同定した因子が血管内皮細胞-赤芽球の相互作用、具体的にはアクチンフィラメントの集積・再構成を伴う細胞移動にどのように関与しているかを明らかにする。この解析により、血管と血球がお互いを足場としてどのような機構で移動・分化し、血液循環系というロバストな構造を形作るのかを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主たる目的である「遺伝子組み換え動物の開発」と「責任因子の同定」を達成することができた。平成24年度は当初の予定通り、生体イメージングを用いて責任因子の担う具体的な役割を明らかにする。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに同定できた接着因子について、標的細胞特異的なgain of functionおよびloss of function実験を生体イメージングを基盤として実施する。他にもこれまで同定できた候補以外の責任因子について、継続してスクリーニングを行なう。血管内皮細胞-赤芽球間に存在する相互作用について「接着」「シグナル伝達」など多様な作用機序を想定して幅広い解析を行なう。
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