研究領域 | 動く細胞と場のクロストークによる秩序の生成 |
研究課題/領域番号 |
23111516
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菅生 紀之 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (20372625)
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キーワード | 神経科学 / 脳・神経 / 発生・分化 / 発現制御 / ナノバイオ |
研究概要 |
神経細胞は、幹細胞からの最終分裂後に細胞移動と細胞外環境との応答を通じてその特性を変化させならが神経回路さらには脳形成に至ると考えられる。また、塩基配列を中心とした解析では理解し得ない空間的なクロマチン構造と核内分子配置を基にした相互作用から遺伝子発現が制御されることで細胞の特性が決定すると考えられ、神経細胞分化を理解する上で重要な鍵となると考えられる。本研究では、1)発生期大脳皮質形成において細胞移動を伴いながら進行する分化に連動したクロマチン構造制御、特にDNA修復酵素に着目して時空間的動態のイメージング解析からその機能を明らかにする。2)細胞移動や細胞外環境に応答した遺伝子発現を定量的に1分子計測する技術を確立することを目指している。 本年度の研究では、脳形成における核内構造制御の解明を目指し、1)大脳皮質神経細胞における染色体の核内空間配距をin vivoで明らかにすることを目指した。in vivoで染色体を可視化するため、分化過程のマウス大脳皮質組織切片を作製し、特定の染色体領域に存在する繰返し塩基配列をプローブとしたFISH法さらに染色体の特定領域に局在するクロマチン構成タンパク質の特異的抗体を用いた免疫組織化学を行った。その結果、神経細胞分化過程において核内小器官と連動した染色体の移動が観察された。また、2)遺伝子発現のライブイメージングに向けて、生きた細胞の核内に存在する1分子を可視化し定量的に計測を行う実験系を確立することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究を進めていく上で計画していた脳形成におけるクロマチン動態解析の一つとして、染色体の一部を可視化して発生に伴う変化を観察することが出来た。さらに、生きた細胞の核内で1分子計測に成功したことから次年度に向けて概ね目的を達成することが出来たと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、現在の研究を継続すると共に固定した神経細胞もしくは脳切片上で観察された核内構造を構築する様々な核内分子動態をライブイメージングへとシフトして、移動する細胞動態と連動した分子動態をより詳細な時系列で明らかにすることが必要である。
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