研究領域 | 動く細胞と場のクロストークによる秩序の生成 |
研究課題/領域番号 |
23111530
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
渡部 美穂 群馬大学, 先端科学研究指導者育成ユニット, 助教 (10399321)
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キーワード | GnRHニューロン / GABA / KCC2 / 細胞移動 / NKCC1 |
研究概要 |
性周期を制御しているGnRHニューロンは嗅粘膜と鋤鼻期に由来し、胎生期に脳に入り、視床下部まで移動する。視床下部に移動したGnRHニューロンは性成熟後、周期的なGnRHの大量分泌を起こし、排卵を引き起こす。これまでに、GnRHニューロンでは成熟動物においてもGABAが興奮性に作用していることを明らかにしており、GnRHニューロンの移動における興奮性GABA入力の役割を個体レベルで明らかにするために、GnRHニューロンで時期特異的可逆的にGABA入力の興奮/抑制を決定する主要な分子であるKCC2を過剰発現(GnRH-tTA/KCC2-tetOマウス)およびNKCC1を発現抑制(GnRH-tTS/NKCC1-tetOマウス)させることにより、GnRHニューロンへのGABA入力が抑制性になる遺伝子改変マウスの作成を行った。GnRH-tTA/KCC2-tetOマウスでは、GnRHニューロンでドキシサイクリン依存的にKCC2を過剰発現させることができた。発現誘導されたKCC2は機能していること、内因性のKCC2と同じ蛋白サイズであることを確認した。さらに、ニューロンの移動と活動性の関連を明らかにするために、胎生期の鼻組織を培養し、GnRHニューロンの移動とカルシウムオシレーションをin vitroで解析できる技術を確立した。 発達期の内側基底核原基から大脳皮質への抑制性ニューロンの移動をin vivoで観察するとGABAA受容体やNKCC1阻害剤を作用させるとGABAニューロンの移動速度が遅くなることを明らかにした。そこで、発達期のGABAニューロンの移動におけるGABA興奮性入力の役割を明らかにするために、GABAニューロンへのGABA入力を抑制性に操作することができる遺伝子改変マウス(GAD-tTA/KCC2-tetOマウス)の作成を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度の計画であったGnRHニューロンでGABA入力を時期特異的可逆的に興奮性から抑制性に操作することができる遺伝子改変マウスの作成を行うことができた。さらに、抑制性ニューロン特異的にGABA入力を抑制性に操作することができる遺伝子改変マウスを作出することができた。胎生期にGABA入力を抑制性に変化させた時にGnRHニューロンおよびGABAニューロンの移動に異常がみられるかについて、GnRHおよびGADのin situ hybridizationを行い検討している。
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今後の研究の推進方策 |
GnRHニューロンの活動性をカルシウムイメージングにより記録し、GnRHニューロンの移動の異常とGnRHニューロンの活動性の関連について検討する。胎生期のGnRHニューロンの移動の際にGABAを抑制性に変化させたGnRHニューロンが、視床下部で適切に回路を形成し、機能することができるか調べる。排卵を引き起こすGnRHの周期的大量分泌、性周期がみられるか確認する。
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