研究概要 |
カーボン系ナノマテリアルCNTを特異的に認識するペプチド(アプタマー)と水溶液中での無機材料析出能力を組み合わせて、CNTと半導体ナノ粒子を組み合わせた複合材料の作製を行いそのネット構造を作製して新機電気特性の創発を行った。 前年度までに作製したCoナノ粒子を内包するカーボンナノチューブ(CNT)に吸着するペプチド(アプタマー:MDYFSSPYYEQLFア)を外表面に提示した球殻状タンパク質(mDps:N、終濃度0.3mg/mL))とCNT(終濃度0.3mg/mL)を20mM HEPES (pH7.5)溶液中で混合し、超音波を印加して水溶液に可溶な複合材料(CNT+mDps:NP)を作製した。この複合材料の電子顕微鏡観察から、ナノ粒子とCNTが球殻状タンパク質の殻の厚みだけCNTと隔離されていることが示された。この複合体(CNT+mDps:NP)の溶液を対向するギャップ長3-5ミクロンの2つの電極間に滴下して、2次元ネットを作製した。電極間の複合体(CNT+mDps:NP)整列を促すため1Mhz,6Vppの電圧を印可した。さらに緩衝液などの影響を排除するため、作製されたネット構造は純水によりリンスし、緩衝薬剤の薄層による電気特性のノイズ成分を排除した。これにより多数のCNT電流経路とトンネル結合するナノドットから成る構造を作製した。この複合体(CNT+mDps:NP)2次元ネットや単体の電流-電圧の電気特性測定したところ、数10nAから数100nAオーダーの電流値でヒステリシスを形成するものが現れた。このヒステリシスの原因はまだ不明であるが、CNTネットだけでは生じないことから、タンパク質殻厚(約1.5-2mm)だけCNTと離れたCoナノ粒子が何らかの関与をしていると推測された。
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