公募研究
本研究では、発光性カルボン酸分子として2-naphthoic acid(1)を、光学活性アミン分子として、3種類の置換基の異なるアミン分子(R)-1-phenylethylanme[(R)-2]、(R)-1-(4-methylphenyl)ethylamine[(R))-3]、(R)-1-(4-methoxyphenyl)ethylamine[(R)-4]を超分子・錯体化させることで、新規な光学活性超分子有機発光体の創製を試み、その光学特性について検討した。まず、1/(R)-2系超分子錯体(I)を、1と(R)-2のMeOH混合溶液を調整し、室温中、静置する事により得る事に成功した。X線結晶構造解析を行ったところ、構成分子1と(R)-2は、水素結合及びイオン結合による1次元カラム構造を構築していた。錯体は、この1次元カラム構造が、集合することにより形成していた。1/(R)-3系及び1/(R)-4系超分子錯体(II及びIII)についても同様に、MeOH混合溶液からの超分子・錯体化により得られた。X線結晶構造解析の結果、これら錯体II及びIIIも、2つの構成分子は、水素結合及びイオン結合による1次元カラム構造を構築していた。しかしながら、すべての錯体で、パッキング構造には違いが見られた。固体状態円偏光二色性(CD)・円偏光発光(CPL)スペクトルを測定したところ、IとIIでは符号が同じであったがIIIでは符号が逆転していた。これら符号の反転は、上記結晶構造の違いに起因すると考えられる。以上、本研究では、同じキラリティーを有する光学活性アミン分子を用いているにもかかわらず、置換基の種類を変えることにより、スペクトルの符号を制御することに成功した。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画通り、同じキラリティーを有する光学活性分子を用いているにもかかわらず、置換基の種類を変えることにより、スペクトルの符号を制御するという、非古典的光学特性制御に成功したため。
今年度の研究では、同じキラリティーを有する光学活性分子を用いているにもかかわらず、置換基の種類を変えることにより、スペクトルの符号を制御ことに成功した。引き続き、研究計画に沿って、置換基の位置、あるいは、同じ構成分子で、分子配列様式を制御することにより、固体状態円偏光二色性(CD)・円偏光発光(CPL)の制御を試みる。
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