気-液-液界面を分子自己組織化の環境場として得られる組織膜形態が、約20マイクロメートルの直径を持つ半球微粒子がヘキサゴナルアレイ化した薄膜構造となることを見出した。薄膜直径は10ミリメートルを超える巨視的サイズまで成長できる最適化条件の探索にも成功し、次いで金属への無電界メッキ、蒸着条件などを精査することで、得られる構造の金属転写にも成功した。本実験系では主にπ共役系ヘッドグループにアルキル長鎖を持つ、有機溶媒中において両親媒性を示す分子を用いた。このような分子では、自己組織化環境、条件の違いによって様々な形状の組織構造体を形成することが分かっている。さらに、上述の分子群の他にも、有機半導体材料として一般的に研究対象となっているフラーレン誘導体であるPCBMを用いても、同様に自己組織化微粒子がヘキサゴナルアレイ化した薄膜構造を形成することも見出した。 本研究実施では、組織膜形成の形成メカニズムに関して、様々なコントロール実験の結果を基に考察し、界面での核生成、核への分子拡散による半球微粒子化などを提唱し、自己組織化技法としての全く前例の無い手法を提案するに至った。 また、ナノフレーク表面を持つ微粒子表面に、カーボンナノチューブや金ナノ粒子を担持させ、レーザー光による微粒子表面のリモート加工技術を開発した。この技術では、超撥水性の薄膜表面をリモート制御にて撥水性のフラットなモルフォロジーの膜表面へ改質できる。
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