研究領域 | 分子ナノシステムの創発化学 |
研究課題/領域番号 |
23111724
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
伊藤 嘉浩 独立行政法人理化学研究所, 伊藤ナノ医工学研究室, 主任研究員 (40192497)
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キーワード | 試験管内進化法 / アプタマー / アゾベンゼン / アプタザイム / 光応答性アプタマー / 進化分子工学 / ペプチドアプタマー / リボソームディスプレイ |
研究概要 |
試験管内分子進化法では、生物の進化戦略を取り入れ、10の10乗以上のバリエーションを持つ分子ライブラリーから、標的分子に親和性を持つものを拾ってくるので、理論上任意の標的に対するアプタマーをテーラーメイドに取得することが可能である。これまでに、数多くのアプタマーが報告されており、それぞれの標的分子としては色素分子、抗生物質、各種補因子やタンパク質まで実に多岐にわたる。我々は、これまで非天然分子の進化分子工学への適用や、進化分子工学と合理的設計法の融合によるアプタマーの更なる機能化を行ってきた。 本年度は、まず、アゾベンゼンをアミノ酸誘導体の一種アミノフェニルアラニンに結合させた。この非天然アミノ酸を、ストップコドンをコードするトランスファーRNA(tRNA)に結合させた。一方、ストップコドンを含むランダム配列DNAに転写・翻訳のための配列を付加したテンプレートを調製した。特に今回は、ランダム配列に含まれるアミノ酸が親水性アミノ酸になるようなテンプレートを調製した。これは、これまで全アミノ酸種を用いると疎水性アミノ酸が選別されることが多く、そのため難溶性になることが多くなることから、初めてこの試みを行った。このテンプレートとアゾベンゼン導入tRNAを混合し、無細胞翻訳系で、リボソーム・ディスプレイを構築した。標的分子としてはバイオテクノロジー分野で広く応用されるグルタチオンを選定し、アビジンに結合する光応答性ペプチドアプタマーを取得することを目指した。そのため、リボソーム・ディスプレイ系をアビジンと相互作用させた後、紫外線を照射することによりリボソーム-mRNA-ペプチドを回収した。回収した複合体はEDTAを加えて乖離し、mRNAだけを取り出し、逆転写PCRをし、また翻訳して同様な選別を行った。このような繰返しを5回行い、現在得られたライブラリーの解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
従来行ってきた方法に改良を加え、進化分子工学手法による選別を行っており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
進化分子工学のラウンドを重ね、重複配列が見つかるようになれば、その配列情報に従いペプチドを合成して、所定の性能が得られるか否かを検討する。ネガティブ選別なども工程に加え、より選択性の高い物質取得に努める。
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