1)がんの培養上清による血管内皮のmiRNAの発現変化 がんの培養上清による血管内皮の遺伝子発現変化については,それががん由来のmiRNAや遺伝子の取り込みによるものなのか,血管内皮側の転写亢進によるものかなどを検討する.高転移性の腫瘍の培養上清中のエクソソームには低転移性の腫瘍放出エクソソームと異なったmiRNAXが含まれていることがわかった.このmiRNAXがホストの血管内皮にエクソソームを介して取り込まれるのかどうかについてしらべた.このmiRNAが確かにエクソソームを介して血管内皮に取り込まれること,さらにその発現が血管内皮においてあがることが確認できた.現在このmiRNAの血管内皮における機能の解析を行っている.2) 異常性を獲得する分子機構を標的とした治療 これまでの研究で腫瘍由来のVEGFにより血管内皮の膜トランスポーターP-gpの発現が上がることがわかった.これを阻害するverapamilによりin vitro の系では血管内皮の薬剤感受性が回復することがわかり,この薬剤を併用した抗がん剤低用量使用による血管新生阻害療法をおこなっている.3) がんの進展における経時的な腫瘍血管内皮細胞の遺伝子発現解析 北海道大学病院において肺がん,大腸がん,胃がん,腎がん,前立腺がんや口腔がんと診断された症例において,ヒト腫瘍病理検体や末梢血を用いてTECマーカーの発現を解析し,がんの悪性度との関連や治療経過とがん組織像,血管の成熟化との関連などを解析し現在,臨床パラメータとの比較をおこなった.現在論文作成中である.
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