研究領域 | がん微小環境ネットワークの統合的研究 |
研究課題/領域番号 |
23112504
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
上久保 靖彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60548527)
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キーワード | 骨髄ニッチ / 白血病 / AML1/RUNX1 / 造血幹細胞 / 骨髄異形成症候群 / 家族性血小板減少症 / ノックアウトマウス / ASXL1 |
研究概要 |
研究の目的:骨髄ニッチにおけるAML1/RUNX1の重要性の検討 A:マウスジェネティクスを駆使した異常骨髄ニッチモデルの樹立 1.骨前駆細胞特異的AML1欠損マウスColl-Cre-AML1 fl/flを樹立した。 2.骨前駆細胞特異的AML1欠損マウスのフェノタイプ解析(1)造血幹細胞プールサイズ(KSL:造血幹細胞、プロジェニター細胞分画など)、自己複製能や細胞周期、細胞死がAML1欠損により変化するかどうか解析を行ったところ、造血幹細胞ポピュレーションが減少し、それはアポトーシスの亢進によるものであることが判明した。AML1欠損骨前駆細胞のフェノタイプ解析:AML1欠損により、骨前駆細胞の局在は変化し、分化が若干停止した。 (2)骨前駆細胞発現AML1の下流遺伝子の単離:Coll-Cre-AML1 fl/flから採取したAML1欠損骨前駆細胞ではSPARK、IL3の発現変化が見られる。(3)骨前駆細胞特異的AML1欠損マウスの骨髄異形成症候群や白血病移行を検証中であるが、現在1年経過しているが白血病発症は認められないが、3血球系統の形態異常が誘導されており、(当教室で経験したヒト家族症例フェノタイプから当マウスは、MDSまたは白血病等を発症する可能性があり、MDS(骨髄異型性症候群)が潜在している可能性がある。ENUによりセカンドヒット(付加的遺伝子変異導入)を行っており経過観察中である。 B:骨前駆細胞培養実験系の構築とそれを用いた骨髄ニッチ細胞遺伝子群の解析 1.骨前駆細胞・造血幹細胞共培養システムの確立 各種骨髄微小環境遺伝子をRNAiした新規骨前駆細胞造血幹細胞共培養システムを構築した。 C:WTXノックアウトマウスは他施設が樹立してしまったため、ASXL1ミューテンションノックインマウスを樹立中:ターゲットベクターは完成
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスモデルは予定通り樹立できた。そのマウスのフェノタイプも報告されていないものであり、骨髄ニッチでのAML1・RUNX1の重要性が解明されつつある。 またWTXノックアウトマウスは、他組織に先をこされたが、ASXL1ミューテーションノックインマウスに方向転換し、ターゲットベクターの構築もほぼ完了していることからおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者は、平成24年7月1日より大阪大学医学部医学研究科遺伝子治療学に移動するが、現所属と共同研究を結び、現所属及び移動先にて引き続き骨髄微小環境の研究を続行することから研究計画の変更はない。ASXL1ミューテーションノックインマウスも引き続き固体化を行う。
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