公募研究
現在の日本においてがんを含む悪性腫瘍による死亡は全死亡の約30%を占め、死亡原因の第1位である。がんが生命を脅かす最大の要因は、がんの浸潤・転移にある。そこで本研究では、がん細胞が浸潤する際のがん細胞と周囲環境との相互作用における接着分子およびその関連分子の役割と作用機構を解析することを主眼して解析を行ってきた。昨年度までに、がん細胞と間質細胞との直接的な相互作用を解析する実験系を開発し、その系とDNAマイクロアレイ法を用いて、がん細胞が周囲組織に浸潤した際に、2倍以上に発現増加している遺伝子を55個、半分以下に発現低下している遺伝子を8個見出した。この発現量が有意に変化した63遺伝子のうち、9個については、これまでにがんの浸潤・転移との関連が報告されておらず、その中で発現が上昇していた1つの分子(仮称:Mol-1)に着目して本年度はさらに検討を行った。Mol-1の分子構造は4回膜貫通型で、弱い接着活性を持つ。Mol-1を前立腺がんLNCaP細胞に過剰発現させた場合、LNCaP細胞の性質がどのように変化するか検討した。その結果、ボイデンチャンバーアッセイにおける細胞運動が有意に低下した。次に、Mol-1による細胞運動抑制のメカニズムを解明するため、Mol-1に結合する分子を探索した。方法として、Mol-1の細胞内ドメインを精製し、ビーズに固相化したカラムを作製後、このカラムにLNCaP細胞の抽出液を流し、結合したタンパク質について質量分析を行い、Mol-1への結合タンパク質を新たに同定した。さらに検討を進めたところ、この結合タンパク質とMol-1との結合が、確かにMol-1によるLNCaP細胞の細胞運動抑制に重要であると考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Biochem Biophys Res Commun.
巻: 430 ページ: 482-487
10.1016/j.bbrc.2012.12.010
巻: 423 ページ: 690-696
10.1016/j.bbrc.2012.06.016
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10.1016/j.bbrc.2012.06.094
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10.1016/j.bbrc.2012.09.079