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2011 年度 実績報告書

癌幹細胞―正常細胞間コミュニーケーション分子の同定と性状解析

公募研究

研究領域がん微小環境ネットワークの統合的研究
研究課題/領域番号 23112512
研究機関愛媛大学

研究代表者

近藤 亨  愛媛大学, プロテオ医学研究センター, 教授 (30270573)

キーワード癌幹細胞 / グリオーマ / 老化 / ニッチ / 分泌因子
研究概要

腫瘍形成における老化誘導因子Ecrg4の機能について解析をすすめ、以下の研究成果を得た。
1、悪性グリオーマの周辺に存在するEcrg4陽性細胞を同定するために、免疫染色法を用いて検討を進めているが同定に至っていない。これらEcrg4陽性細胞の機能を検討するために、野生型およびEcrg4ノックアウトマウス脳にマウス人工グリオーマ幹細胞株(GIC)を移植し、腫瘍形成能の違いについて検討したが、両マウス間で優位な差はなかった。次いで、Ecrg4+/+、+/-、-/-マウス脳から調整した神経幹細胞(NSC)を形質転換し、作製したGIC株の性状を解析した結果、Ecrg4-/-NSC由来GICは他の細胞から樹立したGICに比べ増殖が早く、ヌードマウスおよび野生型マウス脳への移植により早期にグリオーマを形成した。Ecrg4+/+と+/-NSC由来GICによる野生型マウス脳での腫瘍形成能が著しく弱いことから、これらGICで発現しているEcrg4が免疫系細胞等に何らかの機能を有していると考えられる。また、本結果はEcrg4が腫瘍抑制因子として働いていることを明確に証明した。
2、Ecrg4受容体を同定するために、成熟型Ecrg4とヒトIgGのFc領域の融合タンパク質(Ecrg4-Fc)発現ベクターを構築し、Ecrg4-Fcがよく結合する細胞を同定、その細胞から調整したmRNAからcDNAライブラリーを作製した。作製したcDNAライブラリーを組み込んだレトロウイルスをEcrg4-Fcの結合が見られなかった細胞に感染させ、Ecrg4-Fcとの結合による発現ライブラリースクリーニングを行っている。Ecrg4-Fcが結合する細胞群の濃縮に成功し、現在組み込まれた遺伝子の同定を進めている。
3、GICから分泌される老化誘導因子を同定するための実験系を構築中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在までの研究成果から(1)腫瘍周辺部に存在するEcrg4陽性細胞を同定していないが、Ecrg4が癌抑制因子として機能することを証明すると共に、免疫細胞への働きについての新規知見に繋がる結果を得ている、(2)発現スクリーニング法を用いてEcrg4受容体遺伝子が濃縮されており、その同定が間近である。

今後の研究の推進方策

現在までに得られた研究成果を基盤として、以下の研究を推進していく予定である。
1、腫瘍周辺部に存在するEcrg4陽性細胞の同定
2、免疫細胞に働くEcrg4の機能解析
3、Ecrg4受容体の同定とそのシグナル伝達系の解析
4、GICによる細胞老化誘導実験系の構築と老化誘導因子の同定

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Stem cells and cancer stem cells-new insights2011

    • 著者名/発表者名
      Kondo T.
    • 雑誌名

      Advances in Cancer Stem Cell Biology

      ページ: 17-31

  • [雑誌論文] グリオーマ2011

    • 著者名/発表者名
      近藤亨
    • 雑誌名

      臨床検査

      巻: 55 ページ: 477-482

  • [雑誌論文] 脳腫瘍のCSC2011

    • 著者名/発表者名
      近藤亨
    • 雑誌名

      BIO Clinica

      巻: 26 ページ: 39-43

  • [雑誌論文] 脳腫瘍の癌幹細胞治療戦略2011

    • 著者名/発表者名
      近藤亨
    • 雑誌名

      医薬ジャーナル

      巻: 47 ページ: 103-108

  • [学会発表] Stress response in neural stem cells2012

    • 著者名/発表者名
      Toru Kondo
    • 学会等名
      Cambridge JSPS UK-Japan meeting
    • 発表場所
      Cambridge, UK
    • 年月日
      20120209-20120210
  • [学会発表] グリオーマ幹細胞の分化能力2011

    • 著者名/発表者名
      近藤亨
    • 学会等名
      第70回日本癌学会
    • 発表場所
      名古屋(招待講演)
    • 年月日
      20111003-20111005

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公開日: 2013-06-26  

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