研究領域 | 多様性と非対称性を獲得するRNAプログラム |
研究課題/領域番号 |
23112714
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西田 宏記 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60192689)
|
キーワード | ホヤ / 胚発生 / 局在RNA / 転写因子 / 発生運命 / 内胚葉 / 非対称細胞分裂 / 中胚葉 |
研究概要 |
単一の受精卵から様々なタイプの細胞を作り出すために、胚は非対称分裂を繰り返す。このとき、二つの娘細胞は異なった発生運命を獲得するが、この非対称性をもたらす機構として、親細胞内で細胞分裂が始まるまでに何らかの因子が偏っており、その因子が二つの娘細胞に不均等に分配されることが重要である。本研究では細胞分裂時における非対称性制御プログラムに関して解析を行うことを目的としている。 脊索動物のホヤの胚では、中内胚葉細胞が32細胞期に分裂する際に、中胚葉になる娘細胞にのみNot遺伝子のmRNAを分配することで中胚葉と内胚葉運命を分離していることが明らかになっている。そこで、Not mRNAの局在の維持に着目し、関与するタンパク質を同定することで局在維持のメカニズムの解明に取り組んだ。yeast three hybrid(Y3H)法を用いてNot mRNAと結合する可能性のあるタンパク質の候補を12種類同定した。これらのうち6種類について機能解析を行い、局在の維持に関与する可能性のあるタンパク質を2種類同定した。Not mRNAの局在の維持に関わる可能性があるClone6、15について、予想されるアミノ酸配列からドメイン解析を行った。その結果、Clone6にはふたつのCENP-B_Nドメイン、ひとつのCENP-Bドメインがあることが分かった。Clone15にはふたつのcoiled-coil領域と、ひとつのARK-bindingドメインがあることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
yeast three hybrid法を研究室に導入し、局在の維持に関与する可能性のあるタンパク質を2種類同定することができた。この結果は、細胞内でのmRNA分配や局在の維持を理解する上で、大きく貢献する可能性がある。
|
今後の研究の推進方策 |
それぞれのタンパク質の抗体を作成し、その細胞内分布を明らかにする。さらに、プルダウンアッセイを行い、実際に候補タンパク質とNot mRNAが結合することを示していきたい。また、それぞれのタンパク質の機能を阻害したときに、その後の遺伝子発現がどのように変化するかも調べる必要がある。
|