研究概要 |
クライオ電子顕微鏡法による異常終止コドン認識複合体の立体構造解析 H23年度は、これまでの分子機構研究の課程で明らかとした、「異常終止コドンを識別している分子複合体」の立体構造をクライオ電子顕微鏡法を用いて解析するため、動物細胞からのタンパク質複合体大量精製系の改善を行った。 a)クライオ電子顕微鏡法に用いるタンパク質複合体の精製 これまでの解析により、異常終止コドン識別複合体は、ribosome,eEF2,eRF1,eRF3,Upf1,SMG-1,SMG-8,SMG-9,Upf2,Upf3,エクソンジャンクション複合体、mRNAにより構成されていることを明らかにしている。本研究では、これら構成成分を精製し、試験管内での再構成を試みる。この目的のため、異常終止コドン識別複合体構成分子のうち、SMG-1(430kDa),SMG-8(130kDa),SMG-9(60kDa),Upf1(140kDa),Upf2(165kDa),Upf3b(60kDa)に関し、動物細胞を用いたタンパク質大量精製系を用い精製をおこなった。いくつかの分子については、十分な発現がみられなかったため、動物細胞発現ベクターの改善を行った。具体的には従来のベクターに、翻訳促進配列、mRNA安定化配列を追加し、さらに、人工遺伝子合成によルコドン最適化を行った。これらの改善により、SMG-8について、従来に比べ50倍以上の発現量上昇に成功した。今後他の分子についても、発現量の改善を進めていく。 b)異常終止コドンを識別している分子複合体構成因子の分子間相互作用の解析 Upf2について、eRF3結合領域の同定を進めている。現在までにUpf3bが競合的にUpf2に結合することを明らかとした。
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