研究実績の概要 |
クライオ電子顕微鏡法による異常終止コドン認識複合体の立体構造解析:H24年度は、これまでの分子機構研究の課程で明らかとした、「異常終止コドンを識別している分子複合体」の立体構造をクライオ電子顕微鏡法を用いて解析するため、動物細胞からのタンパク質複合体大量精製を行い、クライオ電子顕微鏡法により、複合体の分子構造を取得した。 a) クライオ電子顕微鏡法に用いるタンパク質複合体の精製:これまでの解析により、異常終止コドン識別複合体は、ribosome, eEF2, eRF1, eRF3, Upf1, SMG-1, SMG-8, SMG-9, Upf2, Upf3, エクソンジャンクション複合体、mRNAにより構成されていることを明らかにしている。H24年度は、SMG1C複合体(SMG1:SMG8:SMG9)、Upf1, Upf2, Upf1:Upf2複合体の精製を行った。これらを用いて、試験管内で、SMG1C:Upf1複合体, SMG1C:Upf2複合体, SMG1C:Upf1:Upf2複合体の再構成に成功した。さらに、共同研究によりクライオ電子顕微鏡法による立体構造の解析を行った。その結果、Upf1とUpf2はともに、SMG1の触媒領域付近に結合していることが明らかとなった。さらに、SMG1C:Upf1:Upf2複合体のクライオイメージ取得に成功し、解析を続けている。 b) 異常終止コドンを識別している分子複合体構成因子の分子間相互作用の解析: SMG1, Upf1, Upf2について、各種部位欠損変異体を作成し、精製した。これらを用いて分子間相互作用部位の同定をおこない、それぞれの結合部位を同定した。その結果、Upf1, Upf2はともにSMG1の触媒領域に結合した。これは、クライオイメージを元にした立体構造をサポートするものである。
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