研究領域 | 多様性と非対称性を獲得するRNAプログラム |
研究課題/領域番号 |
23112719
|
研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
今高 寛晃 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50201942)
|
キーワード | RNAウイルス / 試験管内合成 / 品質管理 / 翻訳 / 転写 / ウイルス複製 / RNAレプリコン / 脳心筋炎ウイルス |
研究概要 |
本研究はRNAウイルスがどのようにして自分のゲノムRNAの品質管理をしているかを明らかにするものである。我々はヒト細胞抽出液由来試験管内ウイルス合成システムを開発してきている。このシステムではウイルス(EMCV:脳心筋炎ウイルス)RNAの翻訳と複製(転写)が感染細胞で起こる様を忠実に再現し,ウイルス粒子が合成されていく。本年度はこのシステムを駆使して、正常な翻訳ができないRNAは複製されず、粒子にも取り込まれない、という仮説を検証した。 1.RNA複製:セルフリーEMCV RNAレプリコンシステムを使用した。野生型(WT)と変異型(RNAポリメラーゼmut)RNAレプリコンを同時に系にヒト細胞抽出液由来試験菅内ウイルス合成システム投入したらどうなるか、を観察した。変異型RNAレプリコンは単独では複製しなかったが、野生型RNAレプリコンと同時にインキュベーションすることにより複製することがわかった。つまり、野生型RNAレプリコンから合成されたRNAポリメラーゼを用いて変異型RNAレプリコンも複製したと考えられる。つまりRNA複製においては品質管理をしていないと考えられる。 2.粒子形成:EMCVウイルス粒子試験管内合成システムを用いた。野生型(WT)と変異型(RNAポリメラーゼmut)EMCV RNAを同時に系に投入し加温し、ウイルス粒子合成を行った。その後、RNase処理をし、ショ糖密度勾配遠心を用いてウイルス粒子を精製した。精製したウイルス粒子からRNAを抽出し配列をしらべたところ、14クローンが野生型であり、1クローンが変異型であった。つまり、粒子形成の際、選別が行われ、変異型のRNAは粒子に取り込まれにくい、ということが判明した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請した計画に忠実に従い実験を行い、結果を出し、そして論文発表(Kobayashi et al,2011,2012)まで完了したため。
|
今後の研究の推進方策 |
最終年度はこれまでの結果を完全再構成を用いて再現できるかを検証していく。
|