研究領域 | 細胞機能と分子活性の多次元蛍光生体イメージング |
研究課題/領域番号 |
23113504
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
神谷 真子 東京大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (90596462)
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キーワード | 蛍光プローブ / 超解像イメージング / 分子内スピロ環化平衡 |
研究概要 |
今年度においては、強い光褪色耐性やマルチカラー性といった特徴を有するローダミン類・シリルローダミン類を母核として、分子内求核基および蛍光団に修飾を施すことで分子内スピロ環化平衡を示す様々な有機蛍光小分子群の開発に取り組んだ。さらに、分子内スピロ環化平衡定数(pK_<cycl>)や分子内環化速度(k_<cycl>)を初めとする種々のパラメータを分光学的アプローチにより算出し比較検討した。その結果、置換基の導入等による蛍光団の構造変化や分子内求核基の変化により、分子内スピロ環化平衡とそのキネティクスが大きく変化することが示された。より具体的には、蛍光団の求電子性や分子内求核基の求核能が増加するに伴い、分子内スピロ環化平衡定数が酸性pH側にシフトし、分子内環化速度が速くなる傾向があることが明らかになった。現在、分子内スピロ環化平衡と環化速度の関連性の詳細な検討を行っている。さらに、適切な分子内スピロ環化平衡特性を示す候補化合物の一分子レベルでの挙動を測定評価するため、蛍光顕微鏡を用いた評価系の構築に取り組んだ。具体的には、精製した蛋白に開発した色素を化学的にラベル化し、それをカバーガラス表面で一列に並べ吸着させる系を用いた。本評価系を用いることで、候補化合物の特性を蛍光顕微鏡下で精密に評価検討出来るようになり、また必要に応じて適切な修飾を施すことで、超解像イメージングに特化したプローブ分子の開発が実現できると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究目的」に示した"分子内環化平衡の光依存性を利用した、光変換効率・特性が最適化されたSTORM用光変換分子"の開発に必須となる、分子内スピロ環化平衡を示す有機蛍光小分子群を開発し候補化合物の探索に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに確立した評価系を用いて候補化合物の特性を蛍光顕微鏡下で評価検討し、また必要に応じて適切な修飾を施すことで特性の最適化を図り、超解像イメージングに特化したプローブ分子を設計・開発していく。
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