研究概要 |
研究1:PALMイメージングに必要なフォトクロミック蛍光タンパク質(PA-FP)の2分割体再構成法を確立する.PA-FPについて2分割体の作製と評価を行った.分割位置の探索は,アミノ酸配列アラインメントおよび立体構造の重畳等から,最適な切断位置の候補を決定した.2分割した蛍光タンパク質のN末端側およびC末端側断片にそれぞれFRBとFKBPを結合したものを培養細胞内で発現させた.Rapamycin添加に伴うinducibleなFRB-FKBP相互作用により,特定の位置で切断した2分割蛍光タンパク質の再構成に成功した.現在,細胞膜近傍で起こる相互作用イメージングの実証実験を行っている. 研究2:アポトーシス過程におけるミトコンドリアからのSmacタンパク質の放出を,2分割蛍光タンパク質の再構成を利用した蛍光検出するactivatableプローブを開発する.培養細胞レベルで紫外線以外の刺激でアポトーシスを誘発したときに再構成により緑色蛍光が回復することが解った.次に,プローブを恒常的に発現するトランスジェニックゼブラフィッシュを作製した.UV(250nm,200mJ/cm2)を照射し蛍光実体顕微鏡で観察すると,約9時間後に背から尾部にかけて蛍光性細胞が多く観察された.UVを照射しない場合にはこのような蛍光性細胞の増加が見られなかったことから,Smacの放出を可視化検出できることを実証した.現在,プローブ再構成後により強い蛍光を発生するゼブラフィッシュのスクリーニングを行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究1では,当初の予定より早期にPA-FPの分割位置を決定し,既にタンパク質間相互作用の解析に着手している.イメージングの細かな技術については海外の専門家の元で2ヶ月学ぶことにより,技術移転をすることができた.研究2では,早期に細胞実験を終え,ゼブラフィッシュのトランスジェニック体の取得に成功している.今後は発生から様々なステージで観察することにより,新たな死細胞を発見できる可能性を含んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
研究1.二分割したPA-FPを利用して,細胞膜上あるいは近傍で相互作用するタンパク質の超解像イメージングを行う.相互作用検出と同時に,赤色蛍光タンパク質を利用して,クラスリンや細胞骨格タンパク質あるいはミトコンドリアを標識し,2色同時イメージングを可能にする. 研究2.プローブを発現するトランスジェニックゼブラフィッシュを利用して,発生段階から成体に至る過程を蛍光顕微鏡でライブイメージングし,新たな死細胞の探索を行う.
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