研究領域 | 細胞機能と分子活性の多次元蛍光生体イメージング |
研究課題/領域番号 |
23113507
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
榊原 明 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (20510217)
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キーワード | ニューロン / 細胞極性 / 細胞移動 / 微小管 / 中心体 / 軸索 / 大脳皮質 / イメージング |
研究概要 |
本研究は、発生期の三次元脳組織内部を移動中のニューロンに形成される先導突起、神経軸索、樹状突起といった特徴的な突起構造の形成メカニズムに関して、細胞極性制御とりわけ細胞質微小管の配向性制御の視点から分子レベルで解明することを目的とする。この目的を達成するため、神経回路形成の基盤となるニューロン極性化の仕組みを三次元脳組織内におけるin situイメージングに基づき解析する。 今年度は、中心体、微小管プラス端の細胞内局在をライブ観察するための蛍光モニター分子発現系を確立し、マウス胚大脳原基スライス培養法を用いてニューロンのライブ観察を行なった。これにより、ニューロン移動、極性化過程における細胞質微小管の動態を明らかにした。一方で、微小管形成中心(中心体)の主要構成因子ガンマチューブリンを欠損したニューロンの表現型解析を行い、ニューロン移動と突起形成の制御における細胞質微小管の役割について検討を試み、ガンマチューブリン枯渇ニューロンにおいて細胞移動に障害が現れることを明らかにしている。現在、移動終盤から神経軸索・樹状突起形成といったニューロン形態形成後期におけるガンマチューブリン枯渇の影響を調べるため、タモキシフェン投与によりガンマチューブリン欠損の時期を制御可能な実験系の確立を目指して条件検討を行っている。 これらの研究成果の一部は国内外の学会で発表し、現在、原著論文として発表するため投稿中である。また、今年度はニューロンのイメージングに関連する共同研究の結果として原著論文を一報発表することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的として掲げていた中心体、微小管プラス端のライブ観察による細胞質微小管の動態解析は順調に進んでいる。ガンマチューブリン枯渇ニューロンの表現型解析に関して、あらかじめ困難を伴うであろうと予想していた遺伝子欠損時期の時間的制御について、タモキシフェン投与による誘導制御系の導入により改善しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に引き続き、ガンマチューブリン枯渇ニューロンの遺伝子欠損時期に関して、タモキシフェン投与時期の検討を進め、まずは固定標本の観察により、ニューロン移動終盤の皮質板に進入してからの表現型解析を行う。この際、これまで主に注目してきた胎生期におけるニューロン形態の極性化に及ぼす影響のみならず、生後の神経回路形成に与える影響についても解析を試みたいと考えている。並行して、初年度に正常ニューロンを用いて確立した中心体、微小管プラス端のライブ観察系をガンマチューブリン枯渇ニューロンに用いることにより、ガンマチューブリン枯渇条件下における細胞質微小管動態の変化に関してライブ観察に立脚した解析を進める。
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