研究領域 | 細胞機能と分子活性の多次元蛍光生体イメージング |
研究課題/領域番号 |
23113510
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伊川 正人 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (20304066)
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キーワード | 遺伝子組換え / 受精 / 精子 / 卵子 / イメージング / 胎盤 |
研究概要 |
【目的】本課題では、蛍光タンパク質により生体標識したトランスジェニック精子や卵子を用いて受精の瞬間を捉えると共に、申請者の開発した胎盤特異的な遺伝子操作により着床・妊娠をin vivoイメージングすることを目指す。さらにノックアウトマウスなどのモデル動物を組み合わせて解析を進めることで、不妊・不育の病態解明と治療法開発を目指す。 【受精のイメージング】緑色蛍光タンパク質で精子頭部の先体を、赤色蛍光タンパク質で精子ミトコンドリアを生体標識したトランスジェニックマウスを用いて受精のイメージングシステムを立ち上げた。23年度は、新生タンパク質のS-S結合に重要なプロテインジイソメラーゼの精細胞特異的ホモログであるPDILTの欠損マウスの精子を観察した。PDILT欠損マウスの精子は、先体反応性や卵子との受精能力に問題はないが、子宮から卵管に移行できないことを明らかにした。この表現型は精子膜タンパク質であるADAM3を欠失した精子の挙動と似ていることから解析を進め、PDILTが同じく精細胞特異的な小胞体シャペロンであるカルスペリン(CALR3)と共役してADAM3の品質管理を行っていることを突き止めた。つまりPDILT欠損マウスでは、精子膜タンパク質であるADAM3の品質管理が破綻し、精子上に提示されないことになる。 またニポウディスク式の共焦点レーザー顕微鏡と、超高感度EM-CCDカメラを組み合わせることで、受精のライブイメージングを可能にした。23年度は蛍光タンパク質で標識したトランスジェニックマウス精子のIZUMOタンパク質が、精子が卵子と融合する際に精子先体内から細胞膜上へ出てくる様子を観察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生殖不全を示す遺伝子破壊マウスとイメージングに必要な遺伝子組換えマウスの交配は順調であり、表現型の観察も開始している。既に論文発表に至るケースがあるなど順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
着床を観察するには焦点深度の深い蛍光実体顕微鏡が必要となる。すでにマクロズーム顕微鏡の調達を行っており、今後は着床や妊娠のイメージングを実施する。
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