【目的】本課題では、蛍光タンパク質により生体標識したトランスジェニック精子や卵子を用いて受精の瞬間を捉えると共に、申請者の開発した胎盤特異的な遺伝子操作により着床・妊娠をin vivoイメージングすることを目指した。さらにノックアウトマウスなどのモデル動物を組み合わせて解析を進めることで、不妊・不育の病態解明と治療法開発を目指した。
【受精のイメージング】緑色蛍光タンパク質で精子頭部の先体を、赤色蛍光タンパク質で精子ミトコンドリアを生体標識したトランスジェニックマウスを用いて、多くの遺伝子破壊マウス精子の様子を観察した。その結果、精子膜タンパク質であるPMIS2を欠損するマウスの精子では、ADAM3分子が同時に消失すること、さらにそのマウス精子は子宮から卵管に移行できないために雄性不妊となることを報告した。 さらに、ニポウディスク式の共焦点レーザー顕微鏡と、超高感度EM-CCDカメラを組み合わせて、蛍光タンパク質で標識したトランスジェニックマウス精子のIZUMOタンパク質が、精子が卵子と融合する際に精子先体内から細胞膜上へ出てくる様子の観察を重ね、受精後に精子の先体内膜が卵子に取り込まれる様子などをライブイメージングした。 また、精子が蛍光タンパク質で標識されるトランスジェニックマウスから樹立したES細胞を活用すれば、遺伝子破壊マウスを得るために作製したキメラマウスが雄性不妊であった場合に、精巣から蛍光精子を選び出して未受精卵に顕微授精することで、効率良く個体復元できることを報告した。
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