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2011 年度 実績報告書

新規モデルマウスによるオートファジーの全身網羅的な解析

公募研究

研究領域細胞内ロジスティクス:病態の理解に向けた細胞内物流システムの融合研究
研究課題/領域番号 23113708
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

久万 亜紀子  東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教 (30392377)

キーワードオートファジー / 遺伝子改変マウス / 生理学
研究概要

細胞内分解システムであるオートファジーの生理機能を明らかにするために、新たなモデルマウス(Atg5神経特異的レスキューマウス)を作成し、表現型解析を進めている。従来のオートファジー不全マウス(Atg5ノックアウトマウス)は新生児死亡であるため、本研究では、神経症状の回復により新生児死亡を乗り越えることを期待し、神経でのみAtg5を発現するAtg5神経特異的レスキューマウスを作成した。現在まで調べた範囲では、ほぼ全てのマウスが新生児死亡を乗り越えて、数ヶ月生存することが分かった。また、このマウスでは軽い神経症状がみられるものの、オートファジー不全マウスの神経細胞内で観察される凝集体はみられず、プルキンエ細胞の形態も正常であった。よって、神経症状はかなりレスキューされており、このことから少なくとも単純Atg5ノックアウトマウスの死因の1つは、神経ダメージによる吸綴障害であることが分かった。このマウスは神経系以外の全身がAtg5ノックアウトされているため、全身の表現型解析を行ったところ、新たな表現型として精巣・卵巣・小腸に異常が認められた。またこのマウスは重篤な貧血を示した。現在、異常が著しい精巣および卵巣についてさらに解析を行っている。組織染色および電子顕微鏡を用いた観察では、神経特異的レスキューマウスにおいて成熟精子が顕著に少なく、精子形成に異常があることが分かった。精細管内にはp62やユビキチン陽性のタンパク質凝集体は観察されなかったことから、精巣は恒常的オートファジーの活性が低いことが示唆された。一方、精子形成に重要な役割を示すライディッヒ細胞には凝集体が観察された。また、セルトリ細胞の形態異常も電子顕微鏡で観察されたため、ライディッヒ細胞およびセルトリ細胞の関与が示唆された。また、精子形成には下垂体も重要な役割を果たすため、下垂体特異的Creマウスも導入し解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

全身の表現型解析から、特に異常が顕著であった精巣・卵巣・赤血球に焦点を当てて解析を進めている。神経特異的レスキューマウスの産仔数が少ないため、解析に必要な数を十分に得られずやや時間がかかっている。

今後の研究の推進方策

神経特異的レスキューマウスの表現型観察がほぼ終わったので、今後は、オートファジー不全によってなぜその表現型が現れるかを解明していく。特に、精巣・卵巣・赤血球の異常が重篤であるため、これらの組織を中心に解析を行い、各組織におけるオートファジーの役割を明らかにする。
問題点として、神経特異的レスキューマウスの産仔数が少ないことがあげられる。このため、神経特異的Atg5発現マウスを新たに作り直した。現在、このマウスの搬入を待っている。また、すでに利用していた神経特異的Atg5発現マウスにICRを交配し、遺伝的バックグランドを混ぜた雑種マウスにしたところ産仔数が回復したため、新しく作り直したNSE-Atg5が利用可能になるまで、このマウスを利用することにした。これにより、計画に遅れを生ずることなく、解析を進めることができると考えられる。

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公開日: 2013-06-26  

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