研究領域 | 細胞内ロジスティクス:病態の理解に向けた細胞内物流システムの融合研究 |
研究課題/領域番号 |
23113710
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
駒田 雅之 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 准教授 (10225568)
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キーワード | 細胞生物学 / メンブレントラフィック / エンドサイトーシス / エンドソーム / リソソーム / ユビキチン |
研究概要 |
Wnt受容体など細胞膜タンパク質のリソソーム分解の最初のステップは、その細胞膜からのエンドサイトーシスである。この時、細胞膜タンパク質のユビキチン化(リジン63連結型ポリユビキチン化あるいはモノユビキチン化)が分解すべき細胞膜タンパク質を選択的に細胞内にインターナライズするエンドサイトーシス・シグナルとして働く。 本研究では、N末端にアンキリンリピートをもち、C末端に3~4個のユビキチン結合モチーフUIMをもつ機能不明のタンパク質ファミリーAnkrd 13A、13B、13Dの解析を行い、以下のことを明らかにした。 ヒトHeLa細胞を上皮細胞増殖因子EGFで刺激すると、刺激後5分をピークとしてUIMを介したAnkrd13とEGF受容体の直接結合が見られた。Ankrd13はin vitroでリジン63連結型ポリユビキチン鎖と特異的に結合し、これはEGF受容体がうけるユビキチン化のパターンと合致した。また、Ankrd13は中央の領域を介して細胞膜にアンカーされており、細胞膜上でEGF受容体と共局在しました。最後に、Ankrd13やそのドメイン欠失体の過剰発現がEGF依存的なEGF受容体の細胞膜からのエンドサイトーシスを阻害した。 以上のことから、Ankrd13はリジン63連結型ポリユビキチン化をうけた細胞膜タンパク質をUIMを介して認識し、そのエンドサイトーシスを制御する新たな因子、すなわちエンドサイトーシスを始動するユビキチン化の情報を読み解く新規デコード(解読)因子であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Wnt受容体などの細胞膜タンパク質のエンドサイトーシスを始動するユビキチン化の情報を読み解く新規デコード(解読)因子を同定し、論文として報告した(Tanno et al., Mol. Biol. Cell, 2012)。したがって、研究は順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、Ankrd13がいかにユビキチン化された細胞膜タンパク質をエンドサイトーシスのマシーナリーに結びつけているのか、そのメカニズムを解明する必要がある。そのために、アンキリンリピートなどのAnkrd13のUIM以外の領域と相互作用する因子の同定を様々な方法を用いて行う。
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