研究領域 | 細胞内ロジスティクス:病態の理解に向けた細胞内物流システムの融合研究 |
研究課題/領域番号 |
23113724
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
今泉 美佳 杏林大学, 医学部, 准教授 (40201941)
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キーワード | 糖尿病 / 可視化 / インスリン / 分泌 / 開口放出 |
研究概要 |
妊娠期母体はインスリン抵抗性を示し、これを代償するために膵β細胞からのインスリン分泌が増加する。この増加は膵β細胞の増殖とβ細胞からのインスリン分泌亢進が反映しているが妊娠β細胞からの分泌亢進のメカニズムは不明であり、妊娠糖尿病の病因究明のためにも重要な課題である。最近、妊娠時β細胞においてセロトニンが急激に合成され、分泌されることが報告された。このセロトニンの合成、分泌増加が妊娠時インスリン分泌増加を調節しているのではないかと考え、妊娠β細胞でのインスリン分泌亢進に及ぼすセロトニンの調節機構を検討した。その結果、妊娠マウスβ細胞ではイオンチャネル型セロトニン受容体であるHtr3aが高発現しており、グルコース刺激時においてparacrine-ahtocrineセロトニンによるHtr3aシグナルが細胞膜電位を更に脱分極方向にシフトさせ、電位依存性Ca^<2+>チャネルの活性化亢進を起こし、細胞内Ca^<2+>上昇のグルコース感受性を増大させることがわかった。特にこのセロトニンの作用は、分泌応答の低いβ細胞のグルコース刺激に対する閾値の低下に効果的に働いており、膵ラ氏島当たりでのインスリン開口放出頻度の高いβ細胞の割合を増加させ、結果として妊娠期では膵ラ氏島からのインスリン分泌が著しく増大していることが解った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
妊娠糖尿病モデルマウスの妊娠及び繁殖に苦労しているが、おおむね計画通り研究は進展している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は計画どおり、2型糖尿病、妊娠糖尿病モデルマウスを用いて本研究課題を推進する。
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