研究領域 | 遺伝情報収納・発現・継承の時空間場 |
研究課題/領域番号 |
23114716
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
田代 聡 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (20243610)
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キーワード | ゲノム修復 / クロマチン / RAD51 / H2AZ |
研究概要 |
本研究では、ヒト細胞のゲノム修復におけるRAD51の機能制御に、ヒストンH2AZの放出を含めた損傷依存的なクロマチン再構成とSUMO化修飾システムがどのような役割を果たしているのかについて検討することにより、ゲノム修復「場」の制御機構の解明に取り組んでいる。 平成23年度は、まず、H2AZ.1とH2AZ.2の遺伝子欠損DT40細胞株の放射線感受性を解析した。その結果、H2AZ.2欠損細胞がH2AZ.1欠損細胞や野生型細胞より放射線感受性が高いことが明らかになり、このことからH2AZ.2がゲノム損傷修復に関与している可能性が示唆された。ついで、これらの細胞を用いて放射線誘発核内ドメインであるRAD51フォーカスの放射線照射後の形成を検討したところ、H2AZ.2欠損細胞では、放射線照射後のRAD51フォーカス形成の抑制が観察された。さらに、GFPで標識したH2AZ.1とH2AZ.2の発現ベクターを構築し、これらのベクターを遺伝子導入しGFP-H2AZ.1もしくはGFP-H2AZ.2を発現するヒト繊維芽細胞株を作成し、紫外線レーザーマイクロ照射法によるヒストンH2AZ.1とH2AZ.2の放出についての検討を行なった。その結果、ゲノム損傷誘導直後からH2AZ.2が損傷クロマチンから放出されていることが見いだされた。また、SUMO化酵素PIAS4の発現抑制により、H2AZ.2の損傷クロマチンからの放出が抑制されることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
紫外線マイクロ照射法による実験は順調に進んでおり、H2AZとPIAS4の相互作用などの生化学的解析にとりかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、H2AZとPIAS4の相互作用などの生化学的解析に取り組む。さらに、RAD51フォーカス形成におけるH2AZの役割を確定するための分子細胞生物学的実験を行う予定である。
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