研究実績の概要 |
これまで試験管内で再構成させる手法および細胞生物学的解析法により細胞核の継承に必須なセントロメアクロマチン構造の実体解明に向けた研究を行ってきた。24年度は、試験管内再構成法よるCENP-T複合体とクロマチンとの相互作用の実態解明、および細胞生物学的解析法によるセントロメア誘導に関与する因子の同定を中心に実施した。 1)試験管内再構成によるCENP-T複合体の実態解明 試験管内でCENP-T-W-S-Xへテロ4両体を再構成し、同様に再構成したH3あるいはCENP-Aダイヌクレオソームとの相互作用をゲルシフト法により解析した。その結果、CENP-Tへテロ4量体は100bpサイズのリンカーDNAを有すダイヌクレオソームと優先的に相互作用したが、H3型とCENP-A型ダイヌクレオソーム間での有為な結合活性の違いは観察されなかった。再構成したCENP-Tへテロ4量体をDNAスーパーコイルアッセイに供したところ、一般的なヒストンが負のスーパーコイルを導入するのとは逆に、正のスーパーコイルを導入することを見いだした。CENP-Tへテロ4両体はヒストン様構造を持つが、一般的なヒストンと異なったDNA結合様式を有し、セントロメア特有なクロマチン構築に寄与する可能性が示唆された(投稿準備中)。 2)セントロメアタンパク質の異所局在によるセントロメアの誘導 染色体工学的手法により、セントロメアを含むゲノム断片を除去することで、ネオセントロメアを有す細胞株の取得に成功した(Dev. Cell, 2013)。このシステムとテザリング技術を用いてCCANタンパク質の異所局在を行い、23年度に明らかにしたCENP-T N末端に加えて、CENP-C、CENP-IおよびHJURPの異所局在によっても活性なセントロメアが誘導されることを見いだした(J.C.B., 2013)。
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