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2011 年度 実績報告書

ヌクレオソーム構造の自由エネルギープロファイル解析

公募研究

研究領域遺伝情報収納・発現・継承の時空間場
研究課題/領域番号 23114723
研究機関独立行政法人日本原子力研究開発機構

研究代表者

河野 秀俊  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (40291918)

キーワードヌクレオソーム / 分子動力学計算 / 自由エネルギー
研究概要

通常、ヌクレオソームには、H3と呼ばれるタンパク質が含まれるが、細胞分裂時の染色体の一部にはCENP-Aと呼ばれるタンパク質に置き換わっている。この2つの、タンパク質構成が異なるヌクレオソームのダイナミクスを調べるために、分子動力学計算を行った。計算は、H3を含むヌクレオソーム、CENPAを含むヌクレオソーム、両者のDNAを交換したヌクレオソームの合計4つの系に対して、50nsから100nsのシミュレーションを行った。結果、これまでのシミュレーションやX線結晶構造解析から観察された以上に、DNAが大きく動く、つまり、他のタンパク質が裸のDNAと相互作用できることが、今回のシミュレーションによって明らかになった。さらに、CENP-Aを含むヌクレオソームは非常に揺らぎが大きく、通常のヌクレオソームでは約150塩基対がヒストンタンパク質に巻きついているが、CENP-Aでは110から120塩基対のDNAが巻き付いているのみである。これは、CENP-Bというタンパク質がCENP-Aを含むヌクレオソームと複合体を作るという生化学的な知見とも整合する。また、DNAを交換した系でも、CENP-Aを含むヌクレオソームのみが大きな揺らぎを持つことが観察された。詳細な解析までは至ってないが、N末付近のH3のArgがCENP-AではLysに変わっていることが大きな要因であると推定された。これらの知見にもとづき、共同研究にてこの検証実験を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒストンタンパク質が異なるヌクレオソームの分子動力学計算を終え、今年度はそのエネルギーコンポーネント解析を行う状況にある。

今後の研究の推進方策

ヒストンタンパク質が異なるヌクレオソームの分子動力学計算を終え、次年度はそのエネルギーコンポーネント解析を行うことにより、どんな要因でヒストンタンパク質が異なるヌクレオソームの自由エネルギープロファイルが異なるのか、その要因を明らかにする。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] What determines water-bridge lifetimes at the surface of DNA? Insight from systematic molecular dynamics analysis of water kinetics for various DNA sequences2012

    • 著者名/発表者名
      Yonetani, Y., Kono, H.
    • 雑誌名

      Biophysical Chemistry

      巻: 160 ページ: 54-61

    • DOI

      10.1016/j.bpc.2011.09.006

    • 査読あり
  • [学会発表] Molecular Dynamics Simulation of CENP-A Containing Nucleosome2011

    • 著者名/発表者名
      Kono, H.
    • 学会等名
      第34回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      横浜(招待講演)
    • 年月日
      2011-12-16
  • [学会発表] シミュレーションからみるタンパク質-核酸の分子認識機構2011

    • 著者名/発表者名
      河野秀俊
    • 学会等名
      第四回JSBi応用システムバイオロジー研究会/第一回「細胞環境の測定とモデリング」ワークショップ
    • 発表場所
      神戸(招待講演)
    • 年月日
      2011-11-07
  • [学会発表] シミュレーション計算による核内DNA-タンパク質複合体の機能発現メカニズム2011

    • 著者名/発表者名
      河野秀俊
    • 学会等名
      バイオスーパーコンピューティング研究会
    • 発表場所
      和光(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-18
  • [学会発表] Free energy profile of nucleosomal DNA sliding2011

    • 著者名/発表者名
      Kanaeda, N., Ishida, H., Kono, H.
    • 学会等名
      日本生物物理学会年会
    • 発表場所
      姫路
    • 年月日
      2011-09-17
  • [学会発表] 核内DNA-protein複合体のダイナミクスと分子機能2011

    • 著者名/発表者名
      河野秀俊
    • 学会等名
      日本物理学会秋季大会
    • 発表場所
      富山(招待講演)
    • 年月日
      2011-09-16
  • [学会発表] ヌクレオソームがスライドするときの自由エネルギー地形2011

    • 著者名/発表者名
      金枝直子、石田恒、河野秀俊
    • 学会等名
      日本物理学会秋季大会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      2011-09-16

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公開日: 2013-06-26  

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