研究領域 | 遺伝情報収納・発現・継承の時空間場 |
研究課題/領域番号 |
23114723
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研究機関 | 独立行政法人日本原子力研究開発機構 |
研究代表者 |
河野 秀俊 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (40291918)
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キーワード | ヌクレオソーム / 分子動力学計算 / 自由エネルギー |
研究概要 |
通常、ヌクレオソームには、H3と呼ばれるタンパク質が含まれるが、細胞分裂時の染色体の一部にはCENP-Aと呼ばれるタンパク質に置き換わっている。この2つの、タンパク質構成が異なるヌクレオソームのダイナミクスを調べるために、分子動力学計算を行った。計算は、H3を含むヌクレオソーム、CENPAを含むヌクレオソーム、両者のDNAを交換したヌクレオソームの合計4つの系に対して、50nsから100nsのシミュレーションを行った。結果、これまでのシミュレーションやX線結晶構造解析から観察された以上に、DNAが大きく動く、つまり、他のタンパク質が裸のDNAと相互作用できることが、今回のシミュレーションによって明らかになった。さらに、CENP-Aを含むヌクレオソームは非常に揺らぎが大きく、通常のヌクレオソームでは約150塩基対がヒストンタンパク質に巻きついているが、CENP-Aでは110から120塩基対のDNAが巻き付いているのみである。これは、CENP-Bというタンパク質がCENP-Aを含むヌクレオソームと複合体を作るという生化学的な知見とも整合する。また、DNAを交換した系でも、CENP-Aを含むヌクレオソームのみが大きな揺らぎを持つことが観察された。詳細な解析までは至ってないが、N末付近のH3のArgがCENP-AではLysに変わっていることが大きな要因であると推定された。これらの知見にもとづき、共同研究にてこの検証実験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒストンタンパク質が異なるヌクレオソームの分子動力学計算を終え、今年度はそのエネルギーコンポーネント解析を行う状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
ヒストンタンパク質が異なるヌクレオソームの分子動力学計算を終え、次年度はそのエネルギーコンポーネント解析を行うことにより、どんな要因でヒストンタンパク質が異なるヌクレオソームの自由エネルギープロファイルが異なるのか、その要因を明らかにする。
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