公募研究
生後発達初期の臨界期の大脳皮質一次視覚野で、片目遮蔽後にみられる眼優位可塑性は、発達脳可塑性の代表的なモデルとして多くの研究がされてきた。しかしながら、可塑性を誘発する神経回路網の動態について、今まで技術的な困難さから、神経回路網の「構造と機能」という視点からの探求はほとんどされてこなかったのが現状である。そこで、本研究では、マウス大脳皮質一次視覚野眼優位可塑性を指標に「遺伝子改変マウスを用いたin vivo 二光子励起機能的Ca2+イメージング法」を用いて、幼弱脳と成熟脳の解析を神経回路網レベルで行うことで、神経回路網機能発達の原理解明を目指した。本研究では、「in vivo二光子励起機能的Ca2+イメージング法」により、成熟脳における大脳皮質一次視覚野両眼反応性領域内2/3層内の興奮性ニューロンと抑制性ニューロンの方位(傾き)選択的な光反応性と個々のニューロンの空間的な配置の関係性について解析を行ってきた。これにより、光反応性を持つGABAニューロンは、配置的に固まったクラスター集団を形成して活動することが見出された。さらに、このGABAクラスター集団の内側と外側に配置している興奮性ニューロンの方位(傾き)選択性強度について解析を行ったところ、GABAクラスター集団から離れている興奮性ニューロンほど、方位(傾き)選択性が鈍くなっていることが見出された。また、GABAクラスター集団を形成していないGABAニューロンでは、そのような関係性は見られなかった。このことより、GABAニューロンは、大脳皮質神経回路網の活動を制御する際に、クラスター集団を形成し、より効果的に抑制機能を発揮することが示唆され、現在、論文投稿中である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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The Journal of Neuroscience
巻: 32 ページ: 13189-13199
Nature Neuroscience
巻: 15 ページ: 389-398
10.1038/nn.3040.