公募研究
本研究は、線虫C.elegansを対象として自由運動下の多ニューロン活動のイメージング解析を行い、自発的リズム運動の機能的神経回路を明らかにするとともに、光刺激を用いた神経活動誘発と遺伝学的アプローチによってリズム運動の制御機構を明ちかにすることを目的としている。研究実施計画に基づき、本年度は以下の研究を行なった。(1)自由運動下でのニューロン活動の客観的・定量的評価法を確立するため、東北大・ホークビジョン(株)との共同研究で自動追尾システムと高速共焦点レーザー・顕微鏡とを組み合わせたfree-moving 4Dイメージングシステムの開発を行なった。このシステムにより、動物の行動を追尾しながら運動中のニューロン活動を高倍率で再現性良く画像化し解析することが可能となった。(2)行動のアウトプットは運動神経による筋の制御である。体全体の蛇行運動を行なう胴体の運動ニューロンはアセチルコリン作働性とGABA作働性に分類される。動きによるmotion artifactを抑えるために、(1)のシステムを用いて、赤色蛍光蛋白質とG-CaMPのRatioイメージング解析を行った。野生型およびGABA欠損変異体の前進運動、後退運動中の出力系(GABA運動ニューロン-筋)の活動をリアルタイムで可視化し、運動方向によってGABA運動ニューロンの働きが異なることを見い出した。
2: おおむね順調に進展している
自由運動下でのニューロン活動の客観的・定量的評価法を確立し、前進運動、後退運動における出力系回路のイメージング解析が行なわれており、当初計画通り、おおむね順調に進展している。
開発したfree-moving 4Dイメージングシステムを用いて、コリン作動性運動ニューロンおよび運動ニューロンへの司令を行なう介在ニューロンの活動を解析するとともに、光刺激を用いた神経活動誘発によって運動出力系の回路機能を明らかにする。
すべて 2012 2011
すべて 学会発表 (6件)