研究領域 | 神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学 |
研究課題/領域番号 |
23115711
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
木村 幸太郎 大阪大学, 大学院・理学研究科, 特任准教授 (20370116)
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キーワード | 線虫 / optogenetics / calcium imaging |
研究概要 |
脳・神経系の複雑なネットワークの機能はその構造と密接に結びついているが、実際にその機能と構造の関連を詳しく明らかにした例は限られている。本研究では、全ニューロン間の接続様式が明らかになっているモデル動物・線虫C.elegansを対象として、特定のニューロンの活動が神経細胞のネットワークを介してどのように行動を制御するのかを統合的に解析することを目標としている。具体的には、「C.elegansの匂い忌避行動とその増強」(Kimura et al.,J. Neurosci. 2010)を制御する神経ネットワークの機能と構造との関連を明らかにする。これまでの我々と計画班員・岩崎唯史博士との共同研究から、C.elegansは匂い物質2-ノナノンの空間勾配と自らの行動との角度(方位角)を認識して忌避行動を制御している可能性が強く示唆された。この結果は、従来からのbiased random walkモデルや風見鶏機構では説明困難であり、C.elegansの2-ノナノンへの応答行動は新たな原理によって制御されている可能性が高い。そこで、この興味深い神経機能の基盤を明らかにする目的で、2-ノナノンに対するC.elegansの忌避行動に関わると考えられるニューロンの活動をカルシウムイメージングによって明らかにし、さらにそのニューロン活動が行動に与える影響を光遺伝学的手法によって証明することを目指した。H23年度は、カルシウムイメージングにより、2-ノナノンを感ずるAWB感覚神経細胞がOFF応答を示す事を見出した。そこで、光遺伝学的手法により、channelrhodopsinを用いてAWB感覚神経細胞を人為的に活性化した結果、2-ノナノン忌避行動に特徴的な行動パターンを再現することができた。これにより、2-ノナノン忌避行動が新たな行動戦略により制御されている可能性が強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H23年度当初に、カルシウムイメージングとoptogeneticsにより、C.elegansの2-ノナノン忌避行動に関わる神経活動を解析、および操作することを目指したが、これがほぼ達成できたため。
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今後の研究の推進方策 |
H24年度の研究をより発展させて、神経ネットワークの動作原理を明らかにする。
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