研究領域 | 神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学 |
研究課題/領域番号 |
23115713
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
谷村 禎一 九州大学, 理学研究院, 准教授 (20142010)
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キーワード | ショウジョウバエ / 味覚 / 摂食行動 / 栄養価 / アミノ酸 |
研究概要 |
生物の行動は、プログラムされた本能的側面と、経験や環境により適応的に変化できる可塑的な側面から成り立っている。これまでの昆虫の行動の研究は、固定化された反射、本能行動が主に対象であり、行動の可塑性はあまり注目されてこなかった。生物は自己の維持、成長、増殖のために外界から栄養を取り込む必要がある。生物が栄養となる食物を識別する上で味覚感覚は重要であるが、生物は食物の栄養価をどのように感知しているかをショウジョウバエを用いて研究する。なかでも、アミノ酸を受容する味細胞と受容体分子を同定し、摂食量の可塑的な変化がどのような分子メカニズムによっているのかを解明する。ショウジョウバエの成虫を糖だけを与えて飼育するとメスは産卵ができない。イーストの摂取が産卵に必要である。しかし、ショウジョウバエがイーストをどのように検知しているかわかっていなかった。昨年度、イーストの主成分であるアミノ酸をショウジョウバエが感知しているかを調べるために2者選択嗜好性テスト、カフェアッセイを用いて研究を行った。その結果、ショウジョウバエがアミノ酸を水や低濃度の糖よりも好んで摂取することがわかった。さらに、イーストを含む培地で育てた場合よりもイーストを含まない培地で育てた場合ほうが、アミノ酸を有意に多く摂取することが明らかとなった。さらにアミノ酸欠乏状態に置かれた交尾後の雌は、アミノ酸の摂食量が増加することがわかった。本研究は、ショウジョウバエがアミノ酸をどの味細胞で受容して、中枢でどのように処理されているかを解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖の栄養価評価と学習に関する論文を公表することができた。本研究の中心的な課題であるアミノ酸に対する摂食行動について、論文を投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は当初の計画通りにアミノ酸に対する味覚感度変化に関わる受容体と神経機構を解明する。
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