研究領域 | 神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学 |
研究課題/領域番号 |
23115715
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
矢田 俊彦 自治医科大学, 医学部, 教授 (60166527)
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キーワード | nesfatin-1 / Oxytocin / 摂食行動 / 概日リズム / 神経回路 |
研究概要 |
視床下部室傍核Nesfによる摂食行動概日リズムの制御 1.正常ラットで室傍核NesfmRNA発現は明期に高く暗期に低く、摂食量は反対に明期に低く暗期に高く、さらに、明期にNesf中和抗体を投与すると摂食は亢進し、暗期にNesfを投与すると摂食は低下することを見出し、室傍核Nesfは摂食の負の制御因子であり、Nesf発現概日リズムは摂食概日リズムの創出に関与することを示した。さらに、Nesf(NUCB2)のshRNA発現AAVベクターを作成し、室傍核局所投与技術を確立した。 2.肥満Zucker fattyラットでは、正常ラットの室傍核Nesf mRNAの明期の上昇が障害されており、明期と24時間の累積摂食量が増加していることを見出し、明期のNesf発現上昇の障害が過食・肥満の成因として関与すると示唆される。明期にNesfを脳室内投与すると、明期および24時間の摂食量が抑制され、Nesfの時間依存的補充が肥満ラットの摂食リズム障害と過食の是正に有効であることを見出した。 Nesf-Oxt-POMC神経回路 1.Oxtニューロン軸索は孤束核POMCに加えて、弓状核PoMcニューロンに投射していた。Oxtの脳室内投与により弓状核POMCニューロンにc-FOS発現が見られた。Oxtは単離弓状核POMCニューロンの細胞内Ca2+を増加させた。以上の結果より、室傍核Oxtは弓状核POMCニューロンにも神経伝達することが明らかとなった。 2.絶食後の再摂食によるニューロン活性化を検討した。48時間絶食後2時間再摂食により室傍核オキシトシン(Oxt)、弓状核POMCニューロンのmRNAは変化しなかった。 3.Oxt-mRFP-Tgラットの室傍核RFP蛍光は非常に強く、絶食後の再摂食による更なる増加は捉えられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
絶食後の再摂食の実験は作動せず、条件の再設定が必要である以外は、おおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
1.絶食後の再摂食の実験の条件として、絶食48時間により動物の状態が悪くなっている可能性があり、今後は24時間絶食で再検討する。 2.再摂食によるOxt・POMCニューロンの活性化が捉えられたならば、これがNesf shRNAの室傍核局所投与で抑制されるかを検討する。
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