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哺乳動物においては、神経・代謝情報が視床下部室傍核(PVN)で統合されて摂食行動が司令されると考えられている。申請者は、室傍核＜Nesfatin-1(Nesf)→オキシトシン(Oxt)＞ニューロン系による摂食行動制御の神経回路を解明することを目的とした。
１．Nesfによる摂食リズム制御
(1)平成23年度にNesf mRNA発現は明期早期（9AM）に上昇して日内リズムを形成し、摂食日内リズムと逆相関することを見出した。平成24年度の研究で、ラット室傍核へのNesf shRNA局所投与によるNesf mRNA発現上昇の抑制により明期に摂食量が増加して摂食日内リズムが障害された。(2)肥満・過食を呈するZucker-Diabetic fattyラットにおいて、明期のNesf発現上昇の消失、明期の摂食亢進と摂食日内リズムの障害が観察された。さらに、明期にNesfを脳室内投与すると摂食日内リズム障害と過食が改善した。以上より、Nesf mRNA発現リズムが摂食リズムと摂食量を制御している。
２．＜ARC Oxt→PVN POMC＞神経回路
(1)平成23年度にNesf ニューロンが食事誘発因子のグルコース、インスリンにより活性化されることを見出したが、平成24年度は消化管ホルモンCCKによっても活性化されることを明らかにした。(2)平成23年度にOxtニューロン軸索の弓状核（ARC） POMCニューロンへの近接が観察された。24年度の研究で、Oxt脳室内投与によりARCにc-FOSが増加し、Oxtが単離ARC POMCニューロンの細胞内Ca2+を増加させ、神経毒素共役オキシトシンのARC局所投与によりARC POMCニューロン数が選択的に減少し、摂食が抑制された。以上の結果は、室傍核Oxtが弓状核POMCニューロンにシグナル伝達して摂食を抑制する回路の存在を支持する。
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