研究領域 | 神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学 |
研究課題/領域番号 |
23115717
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上川内 あづさ 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00525264)
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キーワード | ショウジョウバエ / 聴覚システム / 脳 / 機能モジュール / 行動 |
研究概要 |
動物の脳は、感覚器によって受容された音がその個体にとって意味を持つか否かを瞬時に判別できる。しかし、どのような神経回路がどのような組み合わせで動作した結果、そのような判断を導いているのか、その神経機構は不明である。本研究課題では、動物の脳が音情報を認識する神経機構の解明を目指している。そのために当該年度においては、ショウジョウバエの聴覚情報処理システムを解析する上で必要となる行動解析方法の確立に成功した。ここでは、以前までに確立していた、性的活性化に依存したオス同士の相互作用の解析法を応用し,コンピュータで作成した様々な人工音がそれぞれどのように行動変化を引き起こすかを定量化した。これにより,録音した求愛歌と同程度の配偶行動促進効果を持つ、人工求愛歌(求愛歌音を模した人工音)を作成することができた。さらに人工音を改変することにより、求愛歌を構成する様々な音要素がそれぞれ、どのように重要かを解明した。また、段階的な音量の雑音を混ぜた音の作成も行い、雑音の混在が行動に与える影響を解析した。これにより、配偶行動を促進できる雑音の混在度合いの閾値を決定した。以上の解析により、次年度に予定している、聴覚情報処理システムを構成する各二次聴覚経路の機能解析のための基盤が整備された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
震災により実験動物の飼育が困難になり、一ヶ月ほど実験が停止した。また,研究室の引っ越しを行い、実験装置を新たに構築する時間が必要となった。しかし,おおむね研究計画通りに順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
引き続いて人工音を用いた行動解析を行い、求愛歌を認識する高次聴覚神経回路が、どのような機能モジュールの組み合わせで構成されているかを推定する。また、生理学的解析と行動学的解析を用いて二次聴覚経路の機能解析を行い、推定した各機能モジュールが、実際にどの高次神経回路に対応するかを解明する。
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