研究領域 | 神経系の動作原理を明らかにするためのシステム分子行動学 |
研究課題/領域番号 |
23115720
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
浅川 和秀 国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 助教 (30515664)
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キーワード | 後脳 / 脳幹 / 行動 / ロコモーション / 方向 / Gal4 / GCaMP / 触覚 |
研究概要 |
本研究は、モデル脊椎動物ゼブラフィッシュの胚が皮膚に与えられた機械刺激の位置の違いを認識して、刺激から最も遠ざかる逃避方向を選択する行動をモデル系に用いて、感覚情報に基づいて調和した体幹の動きを生み出す後脳神経メカニズムの一端を明らかにすることを目的とした。まず、独自に開発したGal4トラップ法を駆使し、特異的な後脳神経細胞に酵母転写因子Gal4を発現するトランスジェニック系統を網羅的に作製した。次に、それらGal4系統を用いた後脳神経機能操作実験とGCaMPを用いた後脳活動のモニタリングを行うことによって、体幹の運動を制御する未知の後脳神経回路の構造と機能を同定することを試みた。 【機械刺激装置の開発】ゼブラフィッシュ胚に定量的な機械刺激を与える為の、電圧素子ピエゾ駆動の機械刺激装置を設計して、作製した。機械刺激受容体の主要な標的である後脳cyp26c1陽性領域に、Gal4-UAS法を用いてGCaMPを発現させ、機械刺激によって引き起こされる神経細胞の活動パターンの検出を試みた。 【Gal4トラップスクリーニングによる後脳Gal4系統の単離】 Gal4トラップベクターを注入した受精卵を成魚に育て、UAS:GFP蛍光レポーター系統と交配させ、得られたF1胚のうち、後脳において特異的なGFP発現(つまりGal4発現)を示すものを選別した。本年度は、およそ1000匹の成魚から、11系統の後脳Gal4系統を単離した。得られたGFP陽性のF1胚を継代し、Southern hybridization法、Inverse PCR法を用いてGal4トラップコンスラクトのゲノム挿入部位を決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゼブラフィッシュ胚の機械刺激装置の開発に成功した。Gal4トラップ法によって、後脳に特異的なGal4発現を示す系統を単離することに成功した。
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今後の研究の推進方策 |
Gal4トラップ法をさらに実施することによって、後脳の細胞構造を明らかにしてゆく。後脳におけるGCaMPによるイメージングのために、胚の固定法を検討する必要があることが分かった。機械刺激から逃避運動の開始に至るまでのGCaMPシグナルを安定して取得できる系を構築する必要がある。
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