公募研究
本研究計画の2年目となる24年度は、初年度に遂行した研究を発展させ腸管免疫制御における脂質の役割に関する研究を遂行した。これまでの研究代表者による研究からスフィンゴシン1リン酸依存的な細胞遊走を介し下痢症状を呈することが示されている食物アレルギーモデルを用いた検討から、マスト細胞の重要性を再認識した。一方、最近の研究からマスト細胞は従来から言われているアレルギー反応だけではなく炎症、生体防御、恒常性維持などの様々な免疫応答に関与することが示唆されている。特にマスト細胞から炎症性脂質メディエーターが産生されること、炎症性腸疾患の患者においてマスト細胞の脱顆粒像が観察されること等から炎症反応におけるマスト細胞の関与が示唆されているが、その実体についてはほとんど解明されていない。本研究では、研究代表者が独自に樹立したマスト細胞特異的抗体ライブラリを用い、マスト細胞の活性化を抑制することで炎症性腸疾患を抑制できる1F11抗体を樹立した。プロテオミクス解析から1F11抗体は細胞外ATPの受容体の一つであるP2X7を認識していることが判明した。腸管組織においてはマスト細胞が最も強くP2X7を発現していること、またマスト細胞のP2X7を介した活性化により、炎症性サイトカインであるIL-1βやTNFが産生され炎症が惹起されること、さらには炎症性脂質メディエーターであるロイコトリエンB4などが産生されることで好中球の浸潤が促進され、炎症の増悪化が起こることが判明した。これらの結果はマスト細胞を介在とする細胞外核酸と脂質メディエーターによる腸管での炎症疾患の発症のメカニズムを提唱する重要な知見であると考える。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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