(1)世界で始めて血管内PGCの細胞挙動を捉えることに成功:in vivo transfection法およびレクチン染色法により、生きた胚の血管内におけるPGCの可視化に成功した。そこに独自のライブイメージング技術(卵外培養法とコンフォーカル顕微鏡による観察)を組み合わせ、血管内におけるPGCの細胞挙動を世界で始めて捉えた。PGCは血流内を受動的に流されて移動することを実証した。また、循環移動を停止する特定の毛細血管の特定と、その際の細胞挙動を捉えることに成功した。 (2)血管内PGCが循環移動を停止する際のメカニズム:ライブ観察の結果から、PGCの循環停止に関わる一つの要因として、PGCの大きさ・硬さといった物理的な要因が重要であると仮説を立てた。実際にPGCと同じ直径をもつ人工物は、PGCと同様に特定の毛細血管において循環移動を停止することから、大きさという要因の重要性を示すことができた。また、循環移動停止に関与する分子を特定するスクリーニング解析から、PGC自身においてはcKit、Rhoファミリー、FGF・Wntシグナル、カドヘリンが必要であること、移動の場である特定毛細血管の形成には、MMPの活性とBMPシグナルが必要であること、まだ作用点は不明ではあるがWntシグナルの必要も見えてきた。 (3)PGC移動のゴールである生殖腺の初期形成メカニズム:生殖腺形成に関わる転写因子カスケードの研究はある程度進んでいるが、発生初期の生殖腺誘導機構に関してはほとんど理解されていなかった。我々は内胚葉から一過的に分泌されるshhが中間中胚葉に作用することで生殖腺が誘導されることを明らかにした。
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