研究領域 | 配偶子幹細胞制御機構 |
研究課題/領域番号 |
23116707
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
嶋 雄一 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (80425420)
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キーワード | ライディッヒ細胞 / 精子形成 / 幹細胞 / ニッチ / エンハンサー / テストステロン / 性分化 / 発生 |
研究概要 |
胎仔型ライディッヒ細胞特異的にジフテリア毒素の受容体(ヘパリン結合性EGF様増殖因子、HB-EGF)を発現するトランスジェニックマウス系統を複数作出した。In-situ hybridizationによる発現解析の結果をもとに、これらの系統のうちHB-EGFが胎仔型ライディッヒ細胞に特異的に、かつ強く発現している系統を選び、毒素投与実験を行った。毒素の投与回数・投与量を検討した結果、50μg/kgを1回投与することで十分に胎仔型ライディッヒ細胞を破壊できることがわかった。生後8週齢の成熟オスマウスに毒素を投与し、投与後1週間~1か月の範囲で精巣組織を採取し形態学的解析を行った。その結果、いずれの時期においても有意な形態学的な変化は認められなかった。一方、生後3週齢で1回毒素を投与した場合には、一部の精細管で精子形成の異常が認められたことから、胎仔型ライディッヒ細胞が時期特異的に機能を発揮する可能性があると考えられた。現在、より若い週齢のマウスに毒素投与を行い、時期特異的な影響をより詳細に解析している。 胎仔型ライディッヒ細胞の遺伝子発現プロファイルに関しては、胎齢18.5日、出生後10日に関しては、既にセルソーティングによりサンプルを調製し、解析が進行中である。一方、生後21日と生後56日の細胞に関しては、ソーティングの過程での精細胞の混入が問題となることが判明したため、現在は新たなキットを購入し、より少数の純粋な細胞(100~1000個)をスタートとして用いる解析系を立ち上げ、条件検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジフテリア毒素の受容体を発現するマウスを作出し、発現解析によって胎仔型ライディッヒ細胞特異的に受容体が発現していることを確認した。当初の期待と異なり、性成熟期のオスマウスに毒素を投与しても影響はなかったが、より若い週齢のマウスに毒素投与した場合に、精子形成の以上が認められた。 胎仔型ライディッヒ細胞の遺伝子発現プロファイルに関しては、胎仔期および幼若期に関しては既にサンプルを調製し解析を進行中である。思春期以降のサンプル調製に際して、精細胞の混入を避けるために新たな手法を導入している途中だが、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当初の期待と異なり、幼若期のみ毒素投与による影響が認められたことから、胎仔型ライディッヒ細胞が時期特異的な機能を持つと推測される。このことから、より細かく時期を振って検討する必要性がある。また、各発生段階における胎仔型ライディッヒ細胞の遺伝子発現プロファイルと照らし合わせることで、時期特異的な機能の実体の解明が期待できる。 遺伝子発現プロファイルに関しては、既に一部はサンプル調製が終了し、残りのサンプルに関しても間もなく終了すると予想される。今後は、シークエンスによって得られたデータの統計学的解析に力点を移し、胎仔型ライディッヒ細胞の機能が時期によってどのように変化するかを明らかにする予定である。
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