研究領域 | 配偶子幹細胞制御機構 |
研究課題/領域番号 |
23116710
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
相賀 裕美子 国立遺伝学研究所, 系統生物研究センター, 教授 (50221271)
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キーワード | 精子幹細胞 / セルトリ細胞 / Nanos2 / 精子形成 / GDNF / レチノイン酸 |
研究概要 |
セルトリ細胞で観察されるステージ依存的な遺伝子発現変化は、複数のシグナルがステージ依存的に活性化されることによって形成されると考えられる。我々は、その中でも、主にレチノイン酸シグナルとFGFシグナル系がGDNFの発現パターンや未分化精原細胞の増殖パターンと相関あるいは逆相関して活性化することを見出した。そこでドミナントネガティブ型のレチノイン酸レセプター(DN-RAR)をセルトリ細胞に強制発現しその遺伝子発現における変動解析及び機能解析を行った。その結果、DN-RARにより、通常RAによって発現誘導される遺伝子は抑制され、RAによって抑制される遺伝子が活性化することが分かった。またDN-RARをセルトリ細胞に発現させた精巣では精子血管関門(BTB)が破壊され、精子形成が異常になることを見出した。また、その時タイトジャンクションの構成タンパク質であるオクルディン遺伝子の発現が異常になることを見出し、精子サイクルにおけるRAがBTBを制御することにより、精子形成を制御していることを明らかにした。また、精子幹細胞に発現するNanos2を過剰発現させると未分化型精原細胞の異常な増殖がおこるが、これがGDNF依存的であるかを検討するため、Nanos2過剰発現マウスでGDNFのレセプターであるGFRa1をノックアウトした。その結果、Nanos2の発現のみでGDNF非依存的に未分化型精原細胞の分化を抑制することが分かったが、結局は、それらの細胞は消失した。Nanos2は未分化型精原細胞の増殖には負の効果があり、GDNFとNanos2による増殖と分化のバランスが重要であることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の成果はStem cell誌に掲載された。
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今後の研究の推進方策 |
現在Nanos2-conditional KO及びNanos2強制発現可能な生殖幹細胞株(GS細胞)を樹立中だが、培養が非常に困難であり、培養が比較的容易な正常なGS細胞を用いたノックダウン及び、強制発現実験に計画変更する必要があるかもしれない。
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