研究領域 | 翻訳後修飾によるシグナル伝達制御の分子基盤と疾患発症におけるその破綻 |
研究課題/領域番号 |
23117504
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
五十嵐 城太郎 福島県立医科大学, 医学部, 准教授 (80375162)
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キーワード | ヘム調節インヒビター / 翻訳開始因子キナーゼ / ヘム / 鉄 / 2-オキソグルタル酸 / 酸素 / 水酸化 / 結晶化 |
研究概要 |
真核細胞は、鉄不足、低酸素によるストレスを受けたとき、タンパク質合成が低下することが知られている。本研究では、この現象に関与する翻訳開始因子キナーゼHRIを対象として、新規の鉄・酸素センサータンパク質OGFOD1による活性調節機構の分子機構について、HRIの翻訳後修飾(プロリン水酸化)に焦点を当て、分子・細胞レベルでの解析を行う。 1)ヒトOGFOD1遺伝子を取得し、発現ベクターに組込み、組換えOGFOD1を大腸菌内で発現した。組換えOGFOD1をアフィニティ・イオン交換・ゲルろ過カラムクロマトグラフィーを用いて精製した。全長型OGFOD1の収量は培地1L当り0.7mgと低かった。そこで、核移行配列を含むN末端部分28残基を短縮したOGFOD1を作成したところ、収量は5倍に上がった。短縮型のOGFOD1標品を用いて、結晶構造解析に向けたスクリーニングを行った。2)高純度に精製したタンパク質を用いてHRIの結晶化スクリーニングを行ったところ、ヒット条件が得られた。回折データを収集したものの、低分解能のため構造解析は難しく、分解能向上のため結晶化条件の最適化を行っている。 最後に、HRIの自己リン酸化部位の同定とその役割について(Igarashi et al.(2011) FEBS J. 278, 918)、HRIとHsp90との相互作用について(Mukai et al.(2011) Protein Pept. Lett. 18, 1251)、それぞれ論文発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究機関の異動に伴って、研究環境が大きく変わった。 震災・原発事故からの復旧作業によって、設備備品の移設がスムースに進まなかった。 組換えタンパク質の発現に時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
全長型OGFOD1タンパク質の取得は困難なため、短縮型OGFOD1を用いた、結晶化、酵素活性測定、翻訳後修飾の解析を行う予定である。
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